流石に無理がある? いきなりの主演バトンチェンジ
『花の乱』(1994)
脚本:市川森一
キャスト:三田佳子、市川團十郎、市川新之助、大沢たかお、奥田瑛二、かたせ梨乃、勝野洋、川野太郎¥、。京マチ子、草刈正雄、小林幸子、佐野史郎、篠田三郎、平淑恵、檀ふみ、鶴田真由、永澤俊矢、夏八木勲、生瀬勝久、野村萬斎、長谷川初範、尾藤イサオ、藤岡弘、、松岡昌宏、松本幸四郎、松たか子、役所広司、萬屋錦之介、ルー大柴
【作品内容】
室町後期、足利義政の妻・日野富子は、夫に代わり政を動かし、跡継ぎ問題で応仁の乱を招いた。華麗な東山文化が花開く中、悪女と評された彼女の葛藤と生涯を描く。
【注目ポイント】
1994年に放送された『花の乱』。故・市川森一が脚本を務め、希代の悪女と評された室町幕府八代将軍・足利義政の正室・日野富子を三田佳子が演じた。2012年に『平清盛』が放送されるまで大河ドラマ史上最低視聴率だった作品でもある。
物語は、足利義政に嫁ぎ正室となった日野富子は、夫に代わって政権を掌握するも後継者争いと重なり、やがて幕府内の争いは日本全土を巻き込む応仁の乱へと発展していく。戦乱の時代を生き抜いた女帝という役にもハマっていた三田。
しかも、日野富子の若き日を演じたのは本作でテレビデビューを果たした当時16歳の松たか子だ。初々しい姿に「可憐」「可愛い」と釘付けになった視聴者は少なくないだろう。
そんな松から三田へとバトンが渡される瞬間が必ず訪れる。三田が当時既に50代だったことを考えると、日野富子がある程度年齢を重ねたタイミングでと考えるがセオリーだが、実際はなんと20代での突然のチェンジ。霧がかかる演出ともに、3年後の姿として三田演じる富子が登場。
「さすがに無理が」「てっきり10年ぐらいたったのかと思ったら3年だった」と違和感を覚えた視聴者が続出した。
とはいえ『花の乱』は派手な戦国大河ではなく、室町時代の退廃と美、権力闘争の虚しさを描いた異色の作品。視聴率には恵まれなかったものの、一部では“知る人ぞ知る傑作”と評価されている隠れた名作である。