史上最高の日本のSF映画は? 世界に誇る珠玉の邦画5選。素晴らしい出来栄え…映画史に名を残す傑作をセレクト
世界で最も愛されているジャンルの1つであるSF映画だが、旧来より日本映画はあまり得意なジャンルではない。しかし、何事も例外は付きもの。和製SF映画の中にも素晴らしいクオリティを誇る作品もある。そこで今回は、日本映画史上最高のSF映画を5本紹介する。(文・村松健太郎)
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【著者プロフィール:村松健太郎】
脳梗塞と付き合いも15年目を越えた映画文筆屋。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在各種WEB媒体を中心に記事を執筆。
ハリウッドでリメイクされる“日本映画の顔”
『ゴジラ』(1954)
監督:本多猪四郎
キャスト:宝田明、河内桃子、平田昭彦、志村喬、堺左千夫、村上冬樹、山本廉、榊田敬二、鈴木豊明、馬野都留子、菅井きん、笈川武夫、林幹、恩田清二郎、髙堂國典、小川虎之助
【作品内容】
水爆実験によって安住の地を追われた古代巨大生物の生き残りが日本に襲来する。
【注目ポイント】
日本映画界に“特撮”という概念を持ち込み、独自の映画文化の礎を築いた記念碑的作品。公開から70年が経ち、今ではハリウッドでメジャー超大作としてリメイクされるなど、“日本映画の顔”とも言える1本。
本多猪四郎監督による骨太な演出、円谷英二による着ぐるみとミニチュアを駆使した特撮、志村喬、平田昭彦、宝田明といったキャスト陣などが揃い、当時の東宝にとっては勝負作とも言える超大作だった。
映画『ゴジラ』はその意気込み通りの大ヒットを記録し、以降“ゴジラ映画”としてシリーズ化されていく。なお特別編集版がアメリカで公開され、ヒットしている。ハリウッドリメイクは90年代を待つことになるが、コミック化されたこともあり、アメリカでゴジラが認知されたのはかなり早い時期になる。
公開当時敗戦から10年経っていなかったこと、唯一の被爆国であり、さらに同年に第五福竜丸事件が起きるなど反核、反戦の意識が強かった当時の人々に本作が与えたインパクトは想像を絶するものがある。
ちなみに、本作のラストでゴジラは、秘密兵器オキシジェンデストロイヤーによって倒されている。ゴジラが確実に死を迎えているのも、その後のシリーズの中では異色であった。