日本のアニメーションを世界に広めた
『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995)
監督:押井守
キャスト:田中敦子、大塚明夫、山寺宏一
【作品内容】
電脳化やサイボーグ技術が発展した西暦2029年を舞台に、テロを未然に防ぐ公安9課の面々の活躍を描くサスペンスアクション。
【注目ポイント】
『機動戦士ガンダム』(1979~)から始まり『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)に至るまで脈々と受け継がれているロボットSFアニメーションの系譜。その中でも、代表的な1本が『機動警察パトレイバー』シリーズだろう。原作は士郎正宗の同題コミックである。
当時すでに『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984)、『機動警察パトレイバー 2 the Movie』(1993)といった傑作を手がけ、日本を代表するアニメーション作家であった押井守監督が手がけた本作は、テクノロジーが発展し、犯罪が高度化した近未来を舞台にしていることもあり、設定は複雑を極め、テクニカルな描写が多かったからか、劇場公開時にはそこまでヒットということはなかったが、ソフト化されたのちにアメリカで大ヒットを記録、逆輸入的に日本でも再評価された。
先行して1988年に公開された大友克洋監督による『AKIRA』(1988)と共に、日本のアニメーションのクオリティを一気に世界に広めることになった。
ウォシャウスキー姉妹による『マトリックス』(1999~)シリーズなどはビジュアル面から設定まで本作からの影響を大きく受けており、2017年にはスカーレット・ヨハンソン主演、ビートたけし共演で『ゴースト・イン・ザ・シェル』としてハリウッドで実写化もされた。
『攻殻機動隊』は押井守監督自身による続編『イノセンス』(2004)に加えて、オリジナルの要素を加えたアニメシリーズがコンスタントに作られている。ただし主人公の草薙素子を長年演じてきた田中敦子が2024年の8月に死去したことで今後のシリーズ展開は難しくなってしまった。