ゴジラシリーズに次ぐ長寿シリーズ

『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)

伊原剛志
伊原剛志【Getty Images】

監督:金子修介(本編)、樋口真嗣(特撮)
キャスト:伊原剛志、中山忍、藤谷文子、螢雪次朗、小野寺昭

【作品内容】

 古代文明によって生まれた地球の守護者であるガメラの活躍をそれにかかわる人間たちを絡めて描き出した。

【注目ポイント】

 『ゴジラ』(1954)を大ヒットさせたことにより、東宝は『空の大怪獣ラドン』(1956)や『モスラ』(1961)などを立て続けに発表し、ヒットに導いていく。そんな中、競合する各映画会社も東宝に負けじと怪獣映画を展開。松竹が『宇宙大怪獣ギララ』(1967)、日活が『大巨獣ガッパ』(1967)、そして大映が『大魔神』(1966~)ともに展開したのが『大怪獣ガメラ』(1965~)だった。

 その後、大映が徳間書店の傘下に入った際に改めて作られたのがこの『ガメラ大怪獣空中決戦』(1995)から始まる俗に言う“平成ガメラ3部作”である。ちなみに、リブートにあたりオリジナルの『大怪獣ガメラ』とは設定から何までアレンジが加えられている。

 日活ロマンポルノで研鑽を積んだ金子修介監督による手堅い演出、アニメ『機動警察パトレイバー』(1988)の脚本で知られる伊藤和典によるリアルな物語、当時新進気鋭の特撮マンだった樋口真嗣の効果的な特撮演出が三位一体となった本作は、興行的にはイマイチだったものの、批評家筋からも高く評価され、長い伝統を誇るキネマ旬報ベストテンで6位に選出。怪獣映画でははじめてランクインする快挙であった。

 先述の通り主に60年代に映画会社各社がこぞって作った怪獣映画ではあるが、ゴジラシリーズに次ぐ長寿シリーズになり得たのは本作を含む“ガメラ映画”だけである。2025年は、誕生60周年のメモリアルイヤーとなる。今後どんな仕掛けが待っているのか。情報を待ちたい。

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