ナレーションのみで明かされる離婚

『半分、青い。』(2018)

永野芽郁
永野芽郁【Getty Images】

脚本:北川悦吏子
キャスト:永野芽郁、松雪泰子、滝藤賢一、佐藤健、原田知世、谷原章介、小西真奈美、間宮祥太朗、嶋田久作、中村倫也、清野菜名、志尊淳、須藤理彩、矢本悠馬、奈緒、小関裕太、古畑星夏、上村海成、六角精児、有田哲平、斎藤工、井川遥、キムラ緑子、若村麻由美、麻生祐未、余貴美子、風吹ジュン、中村雅俊、豊川悦司

【作品内容】

 大阪万博の翌年に生まれたヒロイン・鈴愛(永野芽郁)。小学生の頃に病気で片耳を失聴してしまうが、自身の明るさと独特の発想力を武器に逆境を乗り越えて少女漫画家を目指して上京する。仲間と切磋琢磨するも挫折を経験し、その後、結婚、出産、離婚といった人生の試練に直面する。

【注目ポイント】

 2018年に放送された永野芽郁主演のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』。脚本はドラマ『ロングバケーション』(1996、フジテレビ系)などで知られる北川悦吏子が手がけ、岐阜県と東京を舞台に、ヒロインの成長と夢を描いた作品だ。

 本作の見所となるのが、鈴愛と同じ日に同じ病院で生まれた萩尾律(佐藤健)との関係性。左耳が聴こえなくなった鈴愛を励まし、鈴愛が漫画家を志すきっかけを与えた。何かと暴走しがちな鈴愛を影に日向に見守ってきた律と鈴愛が「早く結ばれて欲しい」と待ち望んでいた視聴者は少なくない。

 ところが、鈴愛は漫画家として成功してから結婚したいと律のプロポーズを断り、漫画家の夢破れたのちに出会った涼次(間宮祥太朗)と結婚した。律は鈴愛に振られたのち、大手企業「菱松電機」に就職してより子(石橋静河)と社内結婚をする。

 その後、お互いに子供にも恵まれ順風満帆かと思いきやそうでもない。共同研究のために2年間アメリカ勤務だった律は、渡米前から夫婦関係が破綻しつつあったのだ。律は「もう一度やり直したい」と妻に伝えてその回は終える。

 夫婦関係の行方が気になる展開にもかかわらず、次の放送では「律君はアメリカに妻子を呼んだもののやっぱりアメリカ。外国。より家族のストレスは溜まり、1月前に離婚が成立しました」とまさかのナレーションのみで離婚が明かされた。

 この展開に放送当時「ナレ離婚」がトレンド入り。「ナレ離婚には納得できない」「あの展開で、何故に?!」と視聴者を困惑させた。
 
 一方、鈴愛夫妻も離婚し、そのシーンでもネットは荒れた。子育てに励む鈴愛とは対照的に、夫・涼次は映画監督への夢を諦めることが出来ず、やがて「家族は邪魔になる」と離婚を切り出す。それに対し鈴愛が言い放つ、「死んでくれ、涼ちゃん」と。

 この「死んでくれ」もトレンド入りし、賛否の声が沸き上がった。

 “朝ドラらしくない朝ドラ”だと放送当時はさまざまな声があったものの、多くの話題を呼んだのは事実。逆の見方をすればむしろ”朝ドラらしい”ことが揶揄されつつある雛形に風穴を開けた意欲作だった。

(文・阿部早苗)

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【了】

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