実は超低予算だった大ヒット日本映画は…? 史上もっともコスパの良い邦画5選。奇抜なアイデアで世界を変えた作品たち
映画製作には莫大な費用が掛かる。しかし、人の心を掴む作品は必ずしもお金が掛かっているわけではない。今回は、低予算にも関わらず、製作費を上回る興行収入を叩き出し、多方面から高く評価された日本映画を5本セレクト。作品の魅力を解説する。(文・編集部)
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低予算大ヒット映画の草分け的存在
『カメラを止めるな!』(2017)
監督:上田慎一郎
キャスト:濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ、長屋和彰、細井学、市原洋、山﨑俊太郎、大沢真一郎、竹原芳子(どんぐり)、吉田美紀、合田純奈、浅森咲希奈、秋山ゆずき
【作品内容】
山奥の廃墟でゾンビ映画を撮影中の撮影隊に本物のゾンビが襲来し襲い掛かる。それでもディレクターの日暮は大興奮で撮影を続けるが、次々とスタッフがゾンビ化し、現場は大混乱する。
【注目ポイント】
低予算で大ヒットを記録した映画といえば真っ先に本作を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。予算300万円で製作され、2018年6月の封切り当初は2館のみのスタートだったが、公開されるやSNSで「面白い」と口コミが広がり、7月下旬には100以上の映画館で拡大公開。興行収入は30億円を超え、社会現象を巻き起こした。
ちなみに邦画のヒットの目安は一般的に10億円とされている。本作がいかに破格の成功を収めたかよくわかるだろう。
予算を低く抑えることができたのは、映画専門学校「ENBUゼミナール」の「シネマプロジェクト」の一環として製作されたため、キャストの出演料が抑えられたのに加え、ロケ地が限定されていることも理由として挙げられるだろう。
とはいえ、肝心の内容が面白くなければここまでヒットすることはなかった。多くの観客から支持を取り付けた最大のポイントは、前半と後半でストーリーを二分した脚本の卓抜なアイデアにある。
映画は基本的にワンシーンワンカットで構成されており、冒頭37分は超B級ゾンビ映画を、後半ではその舞台裏を映し出す。ちなみにワンシーンワンカットとは、映像の最初から最後まで編集によるカット割りを行わず、一気に撮影する技法のことだ。
前半の壁の音や、屋外に飛び出した役者の悲鳴などゾンビ映画特有の見えない恐怖を描きつつ、後半ではそれが思わぬトラブルに起因していたことがわかり、クスっとさせられる。前半の伏線を後半で回収する展開が、まさに本作の醍醐味だろう。