“史上最悪の爆死映画”は? 大赤字を叩き出した迷作5選。採算割れで会社倒産も…不運に見舞われた問題作をセレクト

text by 編集部

世の中には、大きな期待をかけて作られたにも関わらず、観客に見放され、製作会社に多額の損害を与えることになった不運な映画がある。そこで今回は、大赤字を出してしまった海外映画を5本セレクト。内容を紹介しつつ、赤字を叩き出した原因を考察する。(文・編集部)

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マイナスイメージが先走った結果…

『ローン・レンジャー』(2013)

ジョニー・デップ
ジョニー・デップ【Getty Images】

監督:ゴア・ヴァービンスキー
脚本:ジャスティン・ヘイス、テッド・エリオット、テリー・ロッシオ、エリック・アーロンソン
原案:テッド・エリオット、テリー・ロッシオ、ジャスティン・ヘイス
原作:『ローン・レンジャー』
出演:アーミー・ハマー、ジョニー・デップ、トム・ウィルキンソン、ヘレナ・ボナム=カーター、ウィリアム・フィクナー、ルース・ウィルソン

【作品内容】

 過去の悲劇から復讐に燃えていた悪霊ハンターのトント(ジョニー・デップ)は、瀕死の重傷を負った男ジョン(アーミー・ハマー)を蘇らせ、覆面ヒーロー「ローン・レンジャー」としてトントと共に巨悪に立ち向かう。

【注目ポイント】

 ジョニー・デップが主演を務め、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのスタッフが再集結して2013年に公開された本作。アーミー・ハマー、ヘレナ・ボナム=カーター、ウィリアム・フィクナーなど豪華キャストが名を連ね、話題となった作品でもある。

 往年の人気テレビシリーズを現代の技術でリメイクするという挑戦的な企画であり、『パイレーツ・オブ・カリビアン』を成功に導いた才能が再び集まったとあって、前評判はすこぶる高かった。

 なんせ『アルマゲドン』(1998)『バッドボーイズ』(1995)のジェリー・ブラッカイマー製作である。迫力満点の視覚効果が期待され、西部開拓時代がVFX技術でどのように再現されるのか、公開前から注目されていた。加えて、主演は当時、飛ぶ鳥を落とす勢いであったジョニー・デップである。これは期待せずにはいられない。

 しかし、本作はなんとも“難産”であった。製作費は当初、2億5000万ドルと莫大な金額だったが、その後、製作会社のウォルト・ディズニー・ピクチャーズは2億1500万ドルに減額を発表。ジョニー・デップの出演料やゴア・ヴァービンスキー監督の報酬が減らされる事態となった。

 また、製作中にはスタッフの溺死事故やジョニー・デップのケガなど数々のトラブルに見舞われたことによって経費が激増。制作中止寸前まで追い込まれたが、予定されていたシーンをカットするなどしてなんとか完成、公開までこぎつけた。

 呪われているとしか言いようのない、苦難に見舞われた本作。“興行面では成功すること間違いなし”と思われていたが、蓋を開けると、客足は鈍く、大赤字に終わった。爆死の理由は一概には言えないものの、批評家からの酷評がマイナスイメージを作り出し、興行成績に影響したといわれている。
 
 一方で、観客の感想には好意的なものもあり、ジョニー・デップ人気も相まって、日本での興行収入は20億9000万円と及第点を超える成績を残した。

 本作は、製作費に加え、マーケティング費に莫大な予算をかけた作品でもある。1億7500万ドルかけて大々的にPRが行われたが功を奏することはなかった。

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