王道ストーリーと演出の不和

『キング・アーサー』(2017)

チャーリー・ハナム
チャーリー・ハナム【Getty Images】

監督:ガイ・リッチー
脚本:ジョビー・ハロルド、ガイ・リッチー、ライオネル・ウィグラム
原案:デヴィッド・ドブキン、ジョビー・ハロルド
出演:チャーリー・ハナム、アストリッド・ベルジュ=フリスベ、ジャイモン・フンスー、エイダン・ギレン、ジュード・ロウ、エリック・バナ、デビッド・ベッカム

【作品内容】

 王の息子アーサー(チャーリー・ハナム)は、両親を殺されスラムで貧しい生活を送っていた。やがて彼は、聖剣エクスカリバーを手に入れ、自らの運命を知る。そして両親の仇である暴君ヴォーティカン(ジュード・ロウ)を倒し、王となるため仲間と共に立ち上がる。

【注目ポイント】

『スナッチ』(2001)の鬼才ガイ・リッチーが監督を務めたアクションアドベンチャー。『パシフィック・リム』(2013)のチャーリー・ハナムが主演を務め、ジュード・ロウ、エイダン・ギレンといった実力派俳優に加え、かつてアイドル的な人気を誇ったサッカー選手、デビッド・ベッカムも出演者に名を連ねている。

 これまで数々の映画や小説のモチーフになってきた中世の騎士道物語「アーサー王伝説」を、凝りに凝った演出で知られるガイ・リッチー監督がどう料理するのか、公開前、胸を高鳴らせた映画ファンは多いだろう。また、スラムで育ったアーサーが、聖剣エクスカリバーを手に入れ、王へと成長していくというストーリーは、手垢にまみれた題材を新しく生まれ変わらせる挑戦的な試みだと言えよう。

 製作費は1億7500万ドル(約260億円)。言わずもがなの超大作である。しかしながら、興行収入は振るわなかった…。赤字となった理由は一概には言えないが、莫大な予算を投じたVFXを活かしたテンポの良い演出が際立つ一方で、王道のストーリーとスピーディーに映像が切り替わるリッチー演出との相性に問題があったとの見方もある。

 製作費とは別にプロモーションに1億ドル以上の経費がかかっており、それに対して興行収入は1億5000万ドルと大赤字。関係者が即倒するレベルの損失だ。続編の構想があったというが、1作目のまさかの大コケという結果を受け、計画はつゆに消えた。

 ちなみに、クライヴ・オーウェン×キーラ・ナイトレイ共演で同じ邦題の映画が2004年に作られている。視聴する際はお間違いなく。

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