公開から10日後にスタジオが倒産…

『タイタンA.E.』(2000)

マット・デイモン
マット・デイモン【Getty Images】 mages】

監督:ドン・ブルース、ゲイリー・ゴールドマン
アニメーション監督:レン・サイモン
脚本:ベン・エドランド、ジョン・オーガスト、ジョス・ウィードン
原案:ハンス・バウアー、ランドール・マコーミック
出演:マット・デイモン、ビル・プルマン、ドリュー・バリモア、ネイサン・レイン、ジョン・レグイザモ、ジャニーン・ガロファロー、ロン・パールマン、トーン・ロック、アレックス・D・リンツ

【作品内容】

 地球がドレッジと呼ばれるエイリアンに破壊されてから15年。若き青年ケールは、亡き父が遺した指輪に、人類再生の希望となる驚くべき秘密が隠されていることを知る。仲間たちと故郷を救うため、ドレッジの追跡を逃れながら壮大な冒険の旅へと踏み出す。

【注目ポイント】

 2000年に公開された映画『タイタンA.E.』は、20世紀フォックスのアニメーション部門フォックス・アニメーション・スタジオによるSFアニメーション映画。20世紀フォックスがセルアニメーション制作から撤退するきっかけを作った作品でもある。

 監督は『アナスタシア』(1997)などで知られるドン・ブルースとゲイリー・ゴールドマンが務め、声優陣にはマット・デイモン、ドリュー・バリモア、ビル・プルマンといったハリウッドを代表する俳優たちが起用されており、前評判は高かった。

 本作は、地球が滅亡した後の未来世界を舞台にした“ポストアポカリプスSFアニメ”。セル画にCGを融合させた映像表現は、当時としては非常に先進的で、宇宙空間をよりリアルに描くための工夫が随所で観られる作品である。

 さらに、サウンドトラックにはオルタナティブ・ロック系のバンドを起用するなど、映像、音楽の両面で時代のトレンドを意識した「攻めた」内容となっている。

 7,500万ドルという高額な予算が投入されており、フォックス・アニメーション・スタジオにとっても一大プロジェクトだった。しかし、実際に公開されてみると、事前の予想とは裏腹に興行的には大失敗に終わる。

 個人的には、破格の予算をかけただけあり、確かに画力は感じられるものの、特に中盤以降のストーリー展開は起伏に乏しく、印象に残るキャラクターは皆無…とまでは言わないまでもインパクトに欠け、不完全燃焼な印象は拭えない。

 大赤字のはっきりとした理由は定かではないが、上述した煮え切らない印象は、少なからず興行収入に影響したのではないだろうか。

 世界興行収入はわずか約3675万ドルにとどまり、予算の半分も回収できず、大赤字を計上。損失額は1億ドル規模とも言われている。この大赤字によってフォックス・アニメーション・スタジオは本作公開から10日後に倒産している。

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