組織で働く大人に贈る名作

『七つの会議』(2019)

野村萬斎
野村萬斎【Getty Images】

監督:福澤克雄
脚本:丑尾健太郎、李正美
原作:池井戸潤『七つの会議』
出演:野村萬斎、香川照之、及川光博、片岡愛之助、音尾琢真、藤森慎吾、朝倉あき、岡田浩暉、木下ほうか、吉田羊、土屋太鳳、小泉孝太郎、溝端淳平、春風亭昇太、立川談春、勝村政信、世良公則、鹿賀丈史、橋爪功、役所広司、北大路欣也

【作品内容】

 都内の中堅メーカー・東京建電で働く八角民夫(野村萬斎)。お世辞にも成績は良くはなく、ノルマをギリギリでやり過ごしている“ぐうたら社員”。営業部長が結果にこだわる方針を進めている中、我関せずと働いている。

 そんな中で、八角は年下上司のパワハラ騒動を起こすのであった。

【注目ポイント】

 原作は、ドラマ『半沢直樹』(TBS系、2013)、『下町ロケット』(TBS系、2015)など数々の名作で社会現象を巻き起こしてきた池井戸潤の同名小説。本作も、著者の持ち味である巨大会社の闇に迫る主人公たちの奮闘が歯切れ良く描かれている。監督は、TBSドラマなどでいくつもの池井戸潤作品を手掛けてきた福澤克雄。2人の組み合わせに外れなしと言っても過言ではない。

 主演は、狂言師として有名な野村萬斎が務め、脇を固めるのは、香川照之、及川光博、片岡愛之助など実力派ばかりで、重厚感あふれる作品に仕上がっている。

 本作は、パワハラ問題から端を発し、大企業に隠された闇を暴いていく、という壮大なストーリー。日本人らしい献身的な姿勢や会社という組織の中でいかに生き残っていくのかをめぐる処世術が描かれており、共感を呼ぶのはもちろん、学ぶべきところも多い。

 また、野村萬斎演じる八角の普段は飄々としながらも、決めるときにビシッと決めるキャラクターは何ともカッコいい。視聴者の感情を代弁するようなシーンは見応えがあり、とりわけ、八角の視点で日本の組織の在り方が語られるエンドロールは見物なので、最後まで見てほしい。

 これから組織の中でどういう人間になりたいか。それぞれのキャラクターの視点で考えながら見るのも面白い1本だ。

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