好きを仕事にしたい人にオススメの1作

『ハケンアニメ』(2022)

吉岡里帆
吉岡里帆【Getty Images】

監督:吉野耕平
脚本:政池洋佑
原作:辻村深月
出演:吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子、工藤阿須加、小野花梨、、高野麻里佳、前野朋哉、矢柴俊博、新谷真弓、松角洋平、水間ロン、前原滉、みのすけ、古館寛治、徳井優、六角精児

【作品内容】

 念願のアニメ監督デビューをした斎藤瞳(吉岡里帆)。しかし、待ち受けていたのは、制作現場とのすれ違い、プロデューサーからの指示など、課題は山積み。さらに、ライバルとして、天才アニメ監督が復帰することに。瞳はアニメの覇権をかけた争いに立ち向かう。

【注目ポイント】

 原作は、「かがみの孤城」(ポプラ社刊)などの作品で知られている辻村深月。監督は『水曜日が消えた』(2020)でデビューを果たした吉野耕平が務める。主人公の新人アニメ監督を演じるのは、コメディからシリアスまで幅広いジャンルを演じる吉岡里帆、ライバルとなる天才アニメ監督は、カメレオン俳優として知られる中村倫也が演じる。

 本作の見どころの一つに、超豪華なアニメシーンが挙げられる。作中では、瞳が手掛ける「サウンドバック 奏の石」と、王子が描く「運命戦線リデルライト」が登場する。それぞれの作品を実際にアニメ業界で活躍する2組のクリエイターが製作しており、映画の中では多くは映らないが、実際にそれぞれの12話分のコンテを作っているというから驚きだ。

 また、瞳と王子をそれぞれ支えるプロデューサーの存在も注目ポイントだ。仕事に厳しいようで、その実力や努力をよく見て、評価してくれている。彼らの存在がないと、クリエイターが手がけた作品(アニメ)は世に届かないのである。普段は注目されない縁の下の力持ちの存在が描かれるのも、仕事映画の魅力の1つである。

 アニメ制作の現場を舞台にしているが、これはチームで戦う職場全般に当てはめることができる。もしかしたらあなたと同じポジションや同じ悩みを抱えている登場人物が見つかるかもしれない。その人物の気持ちに同一化しながら、チームがまとまっていく過程を追体験するのは何事にも代え難い喜びだろう。

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