不起用ながらも健気な姿に涙

『箱入り息子の恋』(2013)

星野源
星野源【Getty Images】

監督:市井昌秀
キャスト:星野源、夏帆、平泉成、森山良子、大杉漣、黒木瞳

【作品内容】

 彼女いない歴=年齢の天雫健太郎は、親が心配するほど、内気で不愛想で、目標のない日々を送っていた。彼の両親は、彼にチャンスを与えようと、「代理お見合い」で知り合った奈穂子とお見合いをするのだが…。

【注目ポイント】

 監督を務めるのは、『台風家族』(2019)、『犬も食わねどチャーリーは笑う』(2022)などの市井昌秀。主演は、シンガーソングライターとしても活躍している星野源が務めており、本作が映画初主演である。ヒロインは、多くの映画・ドラマで主演やヒロインを務める夏帆が演じる。

 恋愛経験がなく、周囲の人間との間に壁を作る主人公を演じる星野源が見事であり、この作品をきっかけに彼のことを知った人も多いのではないだろうか。主人公の愛らしい童貞ぶりは笑えるポイントでもあり、ラブコメとしての白眉である。本作で星野は日本アカデミー賞の新人賞を受賞している。彼の不器用だけれども、恋に落ちたときにみせる爆発的な行動力は、恋愛をしたことがある人は共感できるだろう。
 
 また、夏帆演じるヒロインは、目の病気を抱えるとても難しい役であったが、見事に演じている。彼女の健気さや儚さと2人の純粋さは、ただのラブコメにとどまらず、観ている人をしかと感動させる。筆者も初めて観た時は涙を流してしまった。この作品を観終えると、人に優しくしようと思うと同時に、チェーン店の牛丼が食べたくなる。どういうこと? と思った方は、ぜひ本編をご覧になってほしい。

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