その場の空気をガラッと変える圧倒的な歌唱力

河合優実

河合優実
河合優実【Getty Images】

 映画『あんのこと』(2024)で、第48回日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞した河合優実の2024年の快進撃は凄かった。同年代の女優の中でも頭ひとつ抜けた印象だ。

 上述の『あんのこと』や『ナミビアの砂漠』といった映画作品もさることながら、彼女の存在をお茶の間に認知させたきっかけは、宮藤官九郎脚本のドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系、2024)で、阿部サダヲ演じる昭和のダメ親父の娘・純子役をおいて他にはないだろう。

 本作は、終盤に挿入されるミュージカルシーンも見どころの一つだった。毎回、阿部サダヲや仲里依紗、磯村勇斗らがその回のテーマの答えとなるナンバーを披露した。河合は満を持して第6話の劇中歌「17歳」で歌声を披露。河合にスポットライトが当たり、彼女が第一声をあげた瞬間、その場の空気はガラッと変容したのだった。

 また、クラフトボスのCMでも、アイドル役として小泉今日子の「なんてったってアイドル」を歌っている。人を惹きつける魔性の魅力を発揮し、表現者としての深みを増している河合。もっと歌唱シーンが観てみたいと思うのは筆者だけではないだろう。

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