視聴者に「考えること」を委ねた『御上先生』
―――『御上先生』は、新たな学園ものとして注目を集めました。
まっつ「『御上先生』はテーマが難しくて、人を選ぶ作品だと思います。自分も含めて大抵の人は大人になってしまうと教育に対してそこまで深く考えないと思うので、日曜劇場らしいストーリー展開で毎週面白く観てはいたんですが、レビューを書くのに毎回、悩みましたね」
苫「まっつさんも仰る通り、人を選ぶ作品だと思います。一貫したテーマが見えづらいというか、個々のエピソードやセリフには考えさせられるし、確かに大事なことだなと納得することもあるんですけど、その個々の要素が1つにまとまっている感じがあまりしなくて。若者に届けたいという意思は感じるけど、それにしては難しい内容を扱っていて、どう見るべきなのか分からないという人もいたんじゃないかなと思います。」
あまの「『これで何をあなたたちは考えますか』と、視聴者に強く委ねている作品ですよね」
まっつ「プロデューサーの飯田和孝さんのXを見ていると、この作品を考えるきっかけにして欲しいというメッセージだと思うんですけど、それをしっかり受け取れるかどうかは、視聴者側のリテラシー次第な部分が強いと思います。ただ、主演の松坂桃李さんの演技はものすごくて、1話ではいわゆる『女王の教室』のような鉄仮面的な印象でしたけど、2話目以降は優しい人なのが分かる。松坂さんが御上先生は“愛の人”と分析していたインタビューを読みましたが、金八イズム的な温かさがキャラクター造形として良かったと思います」