研修医vsベテラン医師の構造にしなかった
『まどか26歳、研修医やってます!』
―――その他、個人的に面白かった作品をおしえてください。
苫「私は『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系/以下『まどか26歳』)が面白かったです。『まどか26歳』は、研修医とベテラン医師の対立構造に落とし込む形じゃなかったのがすごく良かったと思うんですね。
例えば、研修医は別に自分たちが望んだわけじゃないけど働き方改革で定時で帰らなきゃいけない。ベテラン医師たちは『俺たちの若い頃は~』みたいなことを言いはするけど、ベテラン側にとっても改革後の働き方は初めてのことで、要はどちらも1年生なんですよね。上の世代も迷いながら手探りでやっていることを、複数の視点で描いてて、ドラマがしっかりまとまっているのがすごかった。以前、プロデューサーさんに取材をしたんですが、複数人体制の脚本開発が上手く機能したのだと納得しました。
あと『晩餐ブルース』(テレ東系)は間違いなく面白かったです。既に各所で言われていますが、これまであまり描かれてこなかった“男性同士のケア”がテーマであることも良かったし、井之脇海さん演じる主人公がテレビ局のディレクターで、ドラマの制作会議でのやり取りがとてもリアルに感じました。そこにテレ東の食ドラマが上手く合わさっていて深夜ドラマにしては盛り上がってました」
まっつ「『東京サラダボウル』は原作を読んでいたんですが、ドラマ以上にすごく社会的なんですよね。絵のタッチもかなり青年誌寄りで、内容も難しくて人を選ぶ作品です。ドラマは社会派ではあるけども、主演の2人のおかげでより見やすくなっていると思います。キャラクターがしっかりしているし、過去の事件の真相を追うという終盤の引っ張りどころも、ドラマのエンタメ感が担保されていて、良いドラマでした。やっぱり奈緒さんがかわいらしく松田龍平さんはやっぱりかっこいい。口に出すのは憚られますが、これが“メロい”っていうやつなんでしょうね」
あまの「予想以上に面白かったのは、『119エマージェンシーコール(フジテレビ系)』ですね。先ほどの今期は回想シーンそのものが映らない作品が多いという話につながりますが、これはまさに事件そのものは、映像で映さずに司令官室で展開するお話で、画的には地味だけども、豪華な声優さんを起用したりしていて、しっかり見応えがあって面白かったです。事件のスケールが大きすぎず、日常の中でありそうな事柄が多かったのもプラスに働いたと思います。あとは普段どんな仕事をしているのか分からないところにスポットが当たるのもお仕事ドラマのいいところですよね。それ以外だと『トーキョーカモフラージュアワー』(ABCテレビ・テレビ朝日系)と『アポロの歌』(MBS・TBS系)も良かったです」
(文・編集部)
【関連記事】
・ドラマライターが選ぶ、2025年冬ドラマベスト俳優は? 映画チャンネルドラマ座談会【後編】
・日曜劇場『御上先生』で最も演技が良かった若手は? 株を上げた才能5選
・本当に面白い…。ドラマ『ホットスポット』が“考察疲れ”に悩む視聴者の心に刺さったワケ
【了】