人情深い貫禄のある演技で存在感を発揮
広瀬アリス『わろてんか』(2017)
葵わかながヒロインを演じ、吉本興業の創業者・吉本せいをモデルに描かれたNHK連続テレビ小説『わろてんか』(NHK総合、2017年10月~2018年3月末)。
物語は明治から昭和初期の大阪が舞台。笑いが大好きな薬問屋の娘・藤岡てん(葵わかな)が、芸事に夢を抱く青年・北村藤吉(松坂桃李)と出会い、家族の反対を押し切って結婚。大阪で藤吉とともに寄席の経営を始め、幾多の困難を乗り越えていく姿が描かれる。
そんな本作で話題をかっさらったのが、秦野リリコを演じた広瀬アリスだ。リリコは、幼い頃から芸の世界で生きてきた娘義太夫芸人。藤吉に恋心を抱き、てんの恋敵でもあった。強気で華やか、口調はキツめだけど実はとても情に厚い。努力家で一本芯の通った女性であり、ドラマの後半ではリリコの成長も大きな見どころの一つとなった。
広瀬の演技には貫禄があり、シーンによってはヒロインが霞むほどの魅力を湛えていた。物語をグッと引き締める役割を果たすと同時に、一挙手一投足に目が離せず、SNSを賑わせる華があった。回を追うごとにファンを増やし、話題の中心となっていたリリコ演じる広瀬。その活躍ぶりは「リリコが主役やなかったんか」と思わせるほどだった。