仲間への裏切りが許せなかったギャング
ピーター・クレメンザ/『ゴッドファーザー PART II』(1974)
監督:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:マリオ・プーゾ、フランシス・フォード・コッポラ
出演:アル・パチーノ、ロバート・デュヴァル、ダイアン・キートン、ロバート・デ・ニーロ
【注目ポイント】
イタリア系移民の裏社会の生き様を通して人生の普遍的な価値を描いたマフィア映画の金字塔『ゴッドファーザー』(1972)。名優たちの演技やスリリングな脚本、ニーノ・ロータの哀愁たっぷりの旋律は世界中の観客の胸を打ち、興行収入記録を塗り替えるほどの大ヒットを記録した。
そんな本作には、マーロン・ブランド演じるヴィトー・コルレオーネやアル・パチーノ演じるマイケル・コルレオーネなど、個性豊かな登場人物が次々と登場する。リチャード・カステラーノ演じるピーター・クレメンザもその1人だろう。
カポ・レジーム(最古参の幹部)の1人であるクレメンザは、ヴィトーの右腕として知られる人物。豪放磊落かつ料理上手で、マイケルが初めて「仕事」をするときに立ち回り方を教えるなどヴィトーたちからは絶大の信頼を寄せられている。
しかしこのクレメンザ、『ゴッドファーザー PART II』(1974)では出演しておらず、心臓発作で亡くなったことがチラッと語られるのみとなっている。これほどの人気キャラクターが続編で登場しないのは一体なぜなのか。
クレメンザ役のカステラーノによれば、実は当初は『ゴッドファーザー PART II』にも出演予定だったという。しかし、カステラーノは、「クレメンザがコルレオーネ家を裏切る」というストーリーに納得できず、出演を辞退。彼の役割はフランク・ペンタンジェリに引き継がれた。
なお、カステラーノは1988年に55歳の若さで死去。死因は奇しくもクレメンザと同じ心臓発作だった。