“ハリウッドの帝王”を怒らせた代償

ミカエラ・ベインズ/『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』(2011)

ミーガン・フォックス
ミーガン・フォックス【Getty Images】

監督:マイケル・ベイ
脚本:アーレン・クルーガー
出演:シャイア・ラブーフ、ロージー・ハンティントン=ホワイトリー、ジョン・タトゥーロ、ジョシュ・デュアメル、タイリース・ギブソン、パトリック・デンプシー、ピーター・カレン、ヒューゴ・ウィーヴィング、レナード・ニモイ

【注目ポイント】

 タカラトミーとハズブロが共同開発した玩具をテーマにした『トランスフォーマー』シリーズ。日常でよく見る車がかっこいいロボットに変形し熱い戦いを繰り広げる描写は、多くの少年の心を虜にしてきた。
 
 そんな本シリーズで「紅一点」が、ミーガン・フォックス演じるミカエラ・ベインズだ。ミカエラは、第一作『トランスフォーマー』(2007)と続編の『トランスフォーマー/リベンジ』(2009)に出演。シャイア・ラブーフ演じる高校生サム(サミュエル・ジェームズ・ウィトウィッキー)の彼女として、彼をサポートしてきた。

 しかし彼女、なぜか3作目の『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』(2011)では出演しておらず、サムにフラれたという設定でカーリー・スペンサー役のロージー・ハンティントン=ホワイトリーに代わっている。いったいなぜ彼女は、シリーズを降板するはめになったのか。

 事の真相を知るには、『トランスフォーマー/リベンジ』公開後の2009年に遡らなければならない。実は彼女、この年に受けたインタビューで監督のマイケル・ベイを徹底批判。「絶望的にダサい」「人と関わる能力がゼロ」「ヒトラーみたいになりたがってる」とこき下ろしていたのだ。

 しかし、実はこの発言に顔を真っ赤にしたのはマイケルではなかった。それどころかマイケルは、「ミーガンの言うことだから」と歯牙にもかけなかったという。

 ミーガンにキレた人物ー。それは、制作総指揮を務めたスティーブン・スピルバーグだった。ユダヤ系アメリカ人であるスピルバーグは、この発言に激怒し、「今すぐクビにしろ」とスタッフに伝えたのだという。ミーガンは、よりにもよって「ハリウッドの帝王」を怒らせてしまったのだ。
 
 なお、彼女は8年後、雑誌のインタビューで「当時は確実に最悪の時期だった」と回顧。「私だけではなく大勢の人が傷ついた」と反省の弁を述べている。

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