過剰な報復が生んだ新たな映画の流れ
映画『わらの犬』(1971)
監督:サム・ペキンパー
原作:ゴードン・M・ウィリアムズ
脚本:デビッド・ゼラグ・グッドマン、サム・ペキンパー
キャスト:ダスティン・ホフマン、スーザン・ジョージ、ピーター・ボーン、T・P・マッケンナ、デル・へニー
【作品内容】
『ワイルドバンチ』(1969)、『ゲッタウェイ』(1973)などの多くの名作とバイオレンスシーンを残したサム・ペキンパー監督作品。アメリカン・ニューシネマで名を挙げたダスティン・ホフマンが主演を務めた。
数学者のデイヴィッドは都会の喧騒から逃れるために片田舎に引っ越したが、逆に閉鎖的な村の若者たちから嫌がらせを受ける日々を過ごすことになってしまう。気弱なデイヴィッドはただ耐え続ける事しかできないでいたが、ある出来事をきっかけに彼の中で何かが変わってしまい、それまで見せることのなかった過剰なまでの暴力性を発揮することになる。
【注目ポイント】
ダスティン・ホフマンの佇まいがあくまでも平均的な一般男性にしか見えていないだけに、クライマックスで見せる変貌した姿との落差の激しさは強烈な印象を残す。この映画以降、被害者側が加害者に対して過剰な報復をするという映画が増えたとも言われている。
なおタイトルの『わらの犬』(Straw Dogs)“天地不仁以万物為芻狗”という老子の言葉に由来する。天地にとって万物は芻狗(すうく=祭儀に用いるわらの犬)のようなものでしかないという意味である。