膨大なセリフと容赦のないバイオレンス描写が融合
映画『レザボア・ドッグス』(1992)
監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
キャスト:ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、クリス・ペン、スティーブ・ブシェーミ、ローレンス・ティアニー、カーク・バルツ、エディ・バンカー、スティーブン・ライト、クエンティン・タランティーノ
【作品内容】
宝石強盗のために集められた6人の犯罪者。互いの素性を隠しニックネームで呼び合っている。強盗計画が動き出すが、思わぬ展開に遭遇し現場から逃走した面々は逃走先の倉庫に集まる。しかし情報が漏れていた可能性が出てきたことで疑心暗鬼になった彼らは互いに銃口を向け合うことになってしまう。
【注目ポイント】
クエンティン・タランティーノが鮮烈なデビューを飾った1992年の作品。当時28歳だったタランティーノが監督・脚本・出演の三役を務めた。膨大なセリフと容赦のないバイオレンス描写を両立させるタランティーノのスタイルは1作目から確立されている。
新人監督のインディペンデント体制の第1作ではあるがハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・マドセンなどその時すでに相応のキャリアを積んでいた曲者俳優が揃っている。
今回バイオレス映画ということで本作を挙げたが実はシーンの長さとしてはそれほどではない。しかしながら警官を拷問し、片耳を剃刀で切り落とす場面が強烈で、そこに犯罪者たちの情念の重ねて見せることでより短い時間で最大限のインパクト残す工夫が見て取れる。
犯罪者たちがそれぞれを色にちなんだニックネームで呼び合うのは1975年の『サブウェイ・パニック』からの引用である。耽溺する過去作から引用するタランティーノのスタイルは1作目から発揮されている。
なお、クエンティン・タランティーノは長編監督作品は10作品までと公言しており、すでに9作品までが作られており、最後の1本に(本当に最後になるかどうかも含めて)注目が集まっている。