史上最高のSF映画は…? 映画史に燦然と輝く金字塔(5)巨匠の「失敗作」をアップデート…成功の理由は?

text by 村松健太郎

世界で最も見られている映画ジャンルはSF映画である。『スター・ウォーズ』、『アバター』、マーベル、DCコミックスなどを原作にしたアメコミ映画、ピクサーやドリームワークスによる長編アニメーションの多くもSF映画だ。今回はそんなSF映画の傑作群を紹介する。第5回。(文・村松健太郎)

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難攻不落のSF小説を実写化した大作

『DUNE/デューン砂の惑星』(2021)

ティモシー・シャラメ(『DUNE/砂の惑星』2021年の英国特別上映会より)【Getty Images】
ティモシー・シャラメ(『DUNE/砂の惑星』2021年の英国特別上映会より)【Getty Images】

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
脚本:エリック・ロス、ジョン・スペイツ、ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作:フランク・ハーバート
出演:ティモシー・シャラメ、レベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザック、ジョシュ・ブローリン、ステラン・スカルスガルド、デイヴ・バウティスタ、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、ゼンデイヤ、チャン・チェン、シャロン・ダンカン=ブルースター、シャーロット・ランプリング、ジェイソン・モモア、ハビエル・バルデム

【作品内容】

西暦1万190年。宇宙帝国を築いた人類は、宇宙で最も価値のある物質「メランジ」の供給源である砂の惑星デューンを巡って熾烈な争いを繰り広げていた。

そんな中、皇帝の命を受けたアトレイデス家の後継者・ポール(ティモシー・シャラメ)は、敵であるハルコンネン家の姦計をきっかけに、全宇宙をかけた戦いに巻き込まれていく。

【注目ポイント】

アメリカの小説家フランク・ハーバートが1965年に発表した『デューン砂の惑星』の実写化作品。監督を『メッセージ』(2016)や『ブレードランナー2049』(2017)などで知られるドゥニ・ヴィルヌーヴが務める。

壮大かつ緻密な世界観から、「実写化不可能」と言われ続けてきた原作。1984年にはカルト映画の帝王デイヴィッド・リンチが実写化に挑戦したものの、「失敗作」の烙印を押されて終わっている(『エル・トポ』(1970)などで知られるアレハンドロ・ホドロスキーも映画化を企画していた)。

そんな中白羽の矢が立ったのが数々のSF意欲作を世に送り出してきたヴィルヌーヴだった。彼は壮大な原作に対して当初から2部作構想で企画を進行。主人公のポールに若手スター候補のティモシー・シャラメを抜擢し、他の布陣も豪華キャストで固めた。

結果、本作は世界的な大ヒットを記録しただけでなく、アカデミー賞で作品賞を含む10部門にノミネートされ、同年最多となる6部門を受賞。2024年公開の『デューン砂の惑星PART2』も大ヒットを記録し、アカデミー賞で5部門にノミネート、録音賞と視覚効果賞の2部門での受賞を果たしている。

なお、ヴィルヌーヴは現在、シリーズ三作目の製作も発表している。続報を心待ちにしたいところだ。

(文・村松健太郎)

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【了】

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