原作無視の結末に波紋
『寄生獣 完結編』(2015)
監督:山崎貴
脚本:古沢良太、山崎貴
原作:岩明均『寄生獣』
出演:染谷将太、阿部サダヲ、深津絵里、橋本愛、東出昌大、大森南朋、余貴美子、北村一輝、國村隼、浅野忠信
【作品内容】
映画『寄生獣 完結編』は、岩明均による名作漫画を原作とした2部構成の後編。前編で母を殺した島田を倒した新一は、パラサイトと人間、どちらにも属せぬ存在として孤立を深めていた。本作はそんな彼が「人間とは何か」「生きるとはどういうことか」に向き合う、心と身体の極限を描いた結末でもある。
ラストの大きな見どころは、やはり後藤との最終決戦だ。原作では“鉄骨に付着した有害化学物質”によって後藤を倒す展開だったが、映画では“大量の放射性物質”に置き換えられた。この大胆な改変に対し、一部からは「非現実的すぎる」との声も上がり、実際に放射線科医がSNS上で見解を述べるほどの議論を呼んだ。
また、新一の幼馴染・里美(橋本愛)に関するラスト描写も物議を醸した要因のひとつ。殺人鬼に襲われ、屋上から突き落とされそうになる彼女を新一が間一髪で救出するシーンは緊迫感にあふれている。しかし、その後の描写ではまるで事件のことを忘れたかのように、2人が安堵し合う姿が描かれ、物語の緊張感に対する違和感を残した。
『寄生獣 完結編』のラストは、原作ファンにとって賛否が分かれる内容となった一方で、生命と倫理、種を超えた共存というテーマに対する強いメッセージが込められていることは間違いない。人間とパラサイト、そのどちらが“怪物”だったのか。そして、何をもって「共生」と呼べるのか――観る者に重く問いかける結末である。