映画史上最も衝撃的な最期を遂げた俳優は? 夭折のスター5選。惜しまれながらも亡くなった伝説のアクターをセレクト 

text by 阿部早苗

若くしてこの世を去りながらも、永きにわたり世界の人々に愛され続ける者たちあり。革新をもたらした武術の使い手、魂を揺さぶる演技を見せた俳優たち、繊細な心を映した表現者――その生き様は、時を越えてなお輝きを失わぬ。今回は惜しまれつつも若くして命を落とした伝説のハリウッドスターを5人セレクトし、魅力を解説する。(文・阿部早苗)

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【著者プロフィール:阿部早苗】

仙台在住のライター。2020年にライターデビュー。これまで東日本大震災での企業活動をまとめた冊子「こころノート」第2弾、プレママ向けフリーペーパーを執筆した他、エンタメニュース、福祉関連記事、GYAO トレンドニュース、地元グルメライターなどWEB媒体を中心に執筆。映画なしでは生きられないほど映画をこよなく愛する。

後世に語り継がれる映画史上最も偉大な悪役

ヒース・レジャー

ヒース・レジャー
ヒース・レジャー【Getty Images】

 天性の演技力で注目を集め、“カメレオン俳優”と称されたヒース・レジャー。1979年4月4日、オーストラリアに生まれた彼は、1999年公開の『恋のからさわぎ』でハリウッドデビューを果たす。その後も『パトリオット』(2000)や『チョコレート』(2001)といった作品に次々と出演。脇役ながらも強烈な存在感を放ち、観る者の心に強い印象を残した。

 なかでも『ブロークバック・マウンテン』(2005)では、同性愛の純愛を繊細かつ力強い演技で描ききり、卓越した演技力を世界に知らしめた。アカデミー主演男優賞にノミネートされるなど、多くの映画賞を受賞し、その名声を不動のものとした。

 彼の代表作として語り継がれているのが、2008年公開の『ダークナイト』だ。狂気と悲哀を併せ持つ悪役・ジョーカーを圧倒的な存在感で演じ、映画史に残る伝説的な名演を披露した。

 しかし、全米公開を控えた2008年1月22日、ニューヨーク・マンハッタンのアパートで、ヒースは帰らぬ人となる。死因は睡眠薬など複数の薬物を併用したことによる急性薬物中毒。享年わずか28歳。その早すぎる死は、世界中に衝撃と深い悲しみをもたらした。

『ダークナイト』は彼の死後に公開されたが、その圧倒的な才能はスクリーンに永遠に刻まれた。そして、第81回アカデミー賞では助演男優賞を受賞。28歳での受賞は史上4番目の若さであり、故人による受賞は実に32年ぶりという歴史的快挙となった。

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