お茶の間が恋をした花魁・瀬川(小芝風花)
第16回までの第一章で最も視聴者を魅せたのが、小芝風花演じる花魁・瀬川だろう。もともとは百姓の娘だったが、厳しい年貢の取り立てにあえぐ両親に吉原へ売られた瀬川。そんな彼女が子供の頃から心の支えにしていたのが、吉原で共に育った幼なじみの“蔦重“こと蔦屋重三郎(横浜流星)であり、いわゆる初恋だ。
しかし、吉原で働く男性と女郎の恋愛はご法度。そのため、瀬川は想いを胸に秘め、蔦重もそれに気づく様子はなかった。だが、瀬川に鳥山検校(市原隼人)からの身請け話が持ち上がり、蔦重が彼女への恋心を自覚したことで2人は急接近するのだ。共に吉原を出る計画も立てるが、直前にうつせみ(小野花梨)と新之助(井之脇海)が足抜けに失敗。さらには松葉屋の女将・いね(水野美紀)に諭され、瀬川は鳥山に嫁ぐことを決意する。
それは「吉原を楽しいことばかりのとこにしたい」という蔦重との共通の夢を叶えるためでもあった。離れ離れになっても夢が2人を繋いでくれる。晴れやかな気持ちで迎えた瀬川最後の花魁道中は神々しいまでの美しさだった。花魁の時は手が届かなさそうなオーラに満ちているが、蔦重の前では恋する少女の顔を見せる瀬川。それでいて悲しいほどに大人で、人情溢れる小芝の瀬川に誰もが恋をしていた。