一途な愛で視聴者を悶絶させた新之助(井之脇海)
「我と人と譲りなく、人と我との隔てなく、俄の文字が調いはべり」
そんな朋誠堂喜三二(尾美としのり)が手がける『明月余情』の序文に集約された「俄祭り」のシーン。俄(にわか)とは、女芸者や太鼓持ちの幇間(ほうかん)が踊ったり芝居の真似事をしながら仲之町の大通りを練り歩く吉原の伝統行事。花魁・瀬川(小芝風花)が身請けされた後、大文字屋(伊藤淳史)の提案で吉原では一ヶ月に渡って「俄祭り」が大々的に開催されることに。
蔦重(横浜流星)が誘致した富本豊前太夫(寛一郎)の浄瑠璃や女郎見習いの禿たちによる女歌舞伎など、様々な催し物が行われ、普段は吉原に来ない一般客も一緒になって盛り上がる。祭りの覇権を巡って対立していた大文字屋と若木屋(本宮泰風)も雀踊り対決で絆が生まれたことで和解。祭りの持つ力が人と人との壁を取っ払っていく様が感動的だった。
また、視聴者から反響を呼んだのはうつせみ(小野花梨)と新之助(井之脇海)のシーンだ。一度は足抜けに失敗した2人だが、祭りの盛り上がりに乗じて無事に大門を出る。うつせみの背中を押した女郎仲間・松の井(久保田紗友)の粋な計らいに惚れた人も多いだろう。2人のその後については描かれていないが、5月4日に放送される第17回で新之助が再登場する。果たして2人は幸せになれたのか。なれた…と思いたい。