任天堂のゲームソフトの実写化は30年ぶり
スーパーマリオの汚名をそそぐ見事な出来栄え
『名探偵ピカチュウ』(2019)
【作品内容】
21歳のティム(ジャスティス・スミス)は、父ハリーが事故で亡くなったという連絡を受け、人間とポケモンが共存する街・ライムシティを訪れた。探偵業を営んでいたハリーの部屋で、ティムは1匹のピカチュウと出会う。なぜかティムにはそのピカチュウの話す内容も理解することができた。ティムとピカチュウは、新米記者ルーシーの協力のもと、ハリーが事故の前に追っていた謎の薬品を巡る事件について調べ始める。
【注目ポイント】
本作は世界的人気を誇る日本発のゲーム「ポケットモンスター」シリーズを実写化した作品で、任天堂のゲームソフトを原作とした実写映画としては『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』(1993年)以来実に30年ぶりとなる。なお、監督は『モンスターvsエイリアン』(2009年)のロブ・レターマン。主人公のティム・グッドマンをジャスティス・スミスが、ピカチュウの声を『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のライアン・レイノルズが演じている。
本作のポイントは、なんといってもポケモンのビジュアルの“かわいさ”だろう。例えば、本作のピカチュウは、通常イメージされるピカチュウとは異なりふさふさと毛が生えているが、これが小動物的で超絶かわいいのである(ピカチュウ役のライアンのいささか野太い声もビジュアルとのギャップを感じさせる)。また、ヒデ・ヨシダ役の渡辺謙がポケモンたちと行動を共にするシーンでは、ポケモンが見事に現実世界に溶け込んでいる。
また、ストーリーも、ハリウッド的な要素が盛り込まれつつもポケモン本来のテイストが保たれており、原作への並々ならぬリスペクとを感じさせるものになっている。あらゆる改変が成功をおさめた稀有な作品である。