オカルトブームを牽引した名作
『銀狼怪奇ファイル〜二つの頭脳を持つ少年〜』(日本テレビ系、1999)
原作:金成陽三郎、越智辺昌義『超頭脳シルバーウルフ』
脚本:田子明弘、羽原大介、大石哲也
演出:佐藤東弥、保母浩章、井上健
出演:堂本光一、宝生舞、蟹江敬三
【作品内容】
早くに両親を亡くした高校一年生の不破耕助(堂本光一)は、父の親友である小早川順三郎(蟹江敬三)のもとで、その娘・冴子(宝生舞)と姉弟同然に育てられた。
そんな折、ある殺人事件をきっかけに、耕助の体内に「銀狼」と名乗る別人格があらわれ、片方に危機が迫ったときに意識が切り替わるように。それ以来、学園内で起こる奇怪な殺人事件を天才頭脳で解決していく「銀狼」だったが、一方耕助にはある苦難が待ち受けていた。
【注目ポイント】
「第二次オカルトブーム」が巻き起こった1990年代。『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)や、『木曜の怪談』(フジテレビ系)など、あまたのオカルト系ドラマとともに流行を牽引してきたのが『銀狼怪奇ファイル〜二つの頭脳を持つ少年〜』だ。
原作は、金成陽三郎/越智辺昌義による『超頭脳シルバーウルフ』(講談社)。ただ、キャラクターの設定は受け継いでいるものの、本作ではほぼオリジナルストーリーで進行されている。
人間発火やポルターガイスト、動物の祟りといった超常現象を、天才的頭脳をもって科学的に見破っていくいわゆる推理モノ。大量のネズミに喰われたり、死神に鎌で切り裂かれたり…。学園の人間が立て続けに殺されていく、残忍さを強調した作風が特徴的だ。
なかでも、とりわけ強烈なインパクトを残したのが、第1・2話でオンエアされた「首なしライダー」にまつわる事件。
かの有名都市伝説のように、鳥居の間にピアノ線がはってあり、そこにハイスピードで突っ込んだバイク乗りの主人公の親友が首を刎ねられてしまう。それ以降、まるで彼が恨みを晴らしているかのように、犯人と思しき人物の首が相次いで飛んでいく…という怪奇回。
生首のシーンはどうみてもマネキンで、現在の映像技術と比べれば若干チープ。だが、それがむしろレトロな怖さに拍車をかけていて、恐怖がなかなか頭から離れてくれない。
残虐な事件とは裏腹に、ラストはちょっぴり切ないのも『銀狼怪奇ファイル』の特筆すべき持ち味。堂本光一と三宅健の初々しい演技も、今となっては貴重だろう。時代感覚の違いから度肝を抜かれることも多い本作だが、2026年で放送30周年を迎える。ひそかに、なんらかの形での復活を期待したい。