原作で描かれるキキの“その後”の物語

『魔女の宅急便』(2014)

小芝風花【Getty Images】
小芝風花【Getty Images】

監督:清水崇
脚本:奥寺佐渡子
原作:角野栄子
キャスト:小芝風花、尾野真千子、広田亮平、筒井道隆、宮沢りえ

【作品情報】

 13歳の魔女の少女キキ(小芝風花)は、一人前になるため黒猫ジジと共に旅立ち、海辺の町コリコにたどり着く。やがてパン屋のおソノ(尾野真千子)の世話になりながら空飛ぶお届けもの屋「魔女の宅急便」を始めるが…。

【注目ポイント】

 宮崎駿監督のアニメ映画として有名な『魔女の宅急便』だが、原作は角野栄子による同名児童文学シリーズ。2014年には小芝風花主演で実写化もされた。

 物語は、13歳になった見習い魔女のキキが、相棒の黒猫ジジと共に、コリコという海辺の町で宅急便の仕事を始めるというもの。空を飛ぶ魔法しか持たないキキが、様々な出会いや困難を通して成長していく姿を描いた作品だ。

 実写版では、キキが一時的に空を飛べなくなるという試練を乗り越え、再び空を飛べるようになる。そしてラストはキキが再び宅急便の仕事を始め、コリコの町での生活を前向きに送る姿で締めくくられている。

 一方、原作小説シリーズは全6巻で構成されており、実写版はその中の1巻と2巻を基に描かれている。そのため、結末が違うのは致し方無い。

 そもそも原作では、キキが13歳から大人になるまでの成長がじっくりと描かれており、魔女としての自立だけでなく、恋や結婚に至るまでの人生の歩みが丁寧に綴られているのだ。

 ちなみに、原作第6巻ではキキとトンボが結婚し、双子の子どもを育てている姿が描かれている。そして、13歳を迎えたわが子を見守る母としてのキキの姿も登場する。アニメや実写では描かれていない、キキのその後の物語を知ることができる原作は、彼女の人生を見届けることができる一冊となっている。

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