視聴者を引き込む誠実でナチュラルな演技
多部未華子
朝ドラ主演作:『つばさ』(2009)
【注目ポイント】
多部未華子がNHK連続テレビ小説で初めてヒロインを務めたのは、2009年3月から9月にかけて放送された『つばさ』。当時20歳で、1593人の中から見事ヒロインの座を射止めた。
物語の舞台は埼玉県川越市。地元のコミュニティFM放送局を盛り上げようと奮闘するヒロイン・玉木つばさが、地域との関わりを通じて成長し、同時に家族の絆を取り戻していく姿を描いた作品だ。等身大のヒロインが日々の悩みや喜びを抱えながら前進していくストーリーは、視聴者の共感を呼んだ。
平均視聴率は13.8%と、決して高視聴率とは言えなかったものの、根強いファンに支えられ、放送終了後も作品に関連した活動が続けられるなど、静かな人気を誇った。
ヒロイン・つばさの明るく純粋なキャラクターは、多部未華子の誠実でナチュラルな演技によって一層魅力的に描かれ、視聴者に深く愛された。その演技力が評価され、多部は2010年にエランドール賞新人賞を受賞している。
『つばさ』以降、彼女の女優としての活躍はますます広がりを見せる。ドラマでは『デカワンコ』(日本テレビ系、2011)、『大奥~誕生[有功・家光篇]』(TBS系、2012)、『ツバキ文具店』(NHK総合、2017)などで主演を務め、各種主演女優賞・助演女優賞に輝いた。
また、映画においても『君に届け』(2010)、『あやしい彼女』(2016)、『空に住む』(2020)などで主演を務め、恋愛映画からファンタジー、ヒューマンドラマまで幅広いジャンルで存在感を発揮している。
多彩なキャラクターを自在に演じ分ける柔軟さと、どの役柄にも芯のある存在感を与える確かな演技力で、多部未華子は作品そのものの空気を豊かに彩ってきた。今や日本を代表する実力派女優の一人として、その歩みはますます注目を集めている。