少年鑑別所を舞台にした教官と収容生の禁断の恋

『リップスティック』（フジテレビ系、1999）

脚本：野島伸司
出演：三上博史、広末涼子、いしだ壱成、伊藤歩、中村愛美、池脇千鶴、窪塚洋介、田中美奈子、麻生祐未

【作品内容】

　画家の夢を捨て鑑別所職員となった有明（三上博史）は、心に傷を負った少女・藍（広末涼子）と出会い惹かれ合う。やがて、禁断の恋へと発展していく。

【注目ポイント】

　1999年に放送されたドラマ『リップスティック』（フジテレビ系）は、少年鑑別所を舞台に、若者たちの心の葛藤と再生を描いた社会派ヒューマンドラマ。

　主演は三上博史。教官と禁断の恋に落ちる収容生を広末涼子が演じた他、いしだ壱成、伊藤歩、池脇千鶴、窪塚洋介など当時の若手実力派俳優が多数出演し、野島伸司が脚本を担当した作品だ。

　少年鑑別所の教官と収容生の禁断の恋を描き、洗脳による援助交際や自傷行為、性的虐待など重いテーマをリアルに描写している本作。

　なかでも、池脇千鶴が演じる真白は、継父から性的虐待によって妊娠。保護観察になるも母親からは「泥棒猫」と罵倒され絶望の末に自ら命を絶ってしまう展開は心が抉られる。さらに、窪塚演じる紘毅が、シャワールームで襲われたりと過激な描写もあり、現代では放送されにくい内容だった。

　主要キャストの一人であるいしだ壱成が2001年に大麻取締法違反で逮捕されたことにより1999年にVHSで映像ソフト化されたものの、現在に至るまでDVD化はされていない。

　そして不倫騒動や、傷害事件を起こした広末涼子の件を受け、DVD化は今後も厳しい状況であるといえるだろう。

　ただ配信は一部でされているため、視聴は可能だが、このようなセンシティブな内容を含む本作の再放送は、現代の地上波では実現が難しいのが現状である。