原作の世界観を2時間弱で表現するのは無理？
原作ファン賛否両論の迷作

『タッチ』（2005）

【作品内容】

野球部のエースとして甲子園を目指す弟・和也（斉藤慶太）と、うだつの上がらない兄・達也（斉藤祥太）は双子の兄弟だ。2人は揃って幼なじみの南（長澤まさみ）に思いを寄せていた。そんな中、和也を悲劇が襲い、物語は急展開を迎えることになる…。

【注目ポイント】

原作は1981年から1986年まで、『週刊少年サンデー』誌上で連載されたあだち充による同名コミック。1985年から1987年にかけてフジテレビ系列で放送されたアニメも爆発的な人気を誇り、80年代を代表するコミックとして、歴史に名を刻んでいる。

そんな不朽の青春ラブストーリーを長澤まさみ主演で実写化したのが本作だ。恋愛映画の名作『ジョゼと虎と魚たち』を手がけた犬童一心がメガホンをとり、斉藤祥太・慶太という双子の兄弟が達也と和也を演じるということもあり、野球青春映画の新たな傑作の誕生かと、公開前は期待を集めた。

しかし、蓋を開けてみると、『タッチ』の良いところが引き出されておらず、不満を抱いたファンが続出。そもそも原作の要素を2時間弱に収めるのは無理がある。実写化するのであれば、あだち充の今一つの代表作『H2』と同じく、連続ドラマの方が上手く作品の世界観を表現できたのではないか。

原作コミックの魅力を表現する上で、ライバルの新田や西村、3年時に監督を務めた柏葉英二郎の登場は不可欠だろう。今後は連続ドラマとしてリメイクされることに期待したい。

ちなみに、アニメ版では劇場版とテレビ版で、1年時に決勝で勝ち上がることや3年時に浅倉南がマネージャーをやめないままなど、ストーリー内容に相違があるため、注意して見てほしい。

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