降板トラブルの救世主…代役でブレイクした女優5選。素晴らしい演技で魅了…ピンチヒッターで株を上げた役者をセレクト

text by 野原まりこ

何かと騒がしい昨今の芸能界。輝かしいスポットライトには、大きな影がつきものだ。しかし、世間を騒がす降板劇の裏で、脚光をあびる女優の姿がある。そこで今回は、降板した女優の代役を務め、作品を成功へ導いた女優を5人セレクトしてご紹介する。(文・野原まりこ)

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大波乱を救った救世主

川口春奈『麒麟がくる』(2020)

川口春奈
川口春奈【Getty Images】

 2019年。人気女優・沢尻エリカが麻薬取締法違反の容疑で逮捕され、世間に大きな衝撃が走った。彼女が出演していた映画やドラマ、CMなどの映像作品は次々と公開中止や削除に追い込まれ、関係各所は緊急対応に追われる事態となった。

 その波紋は、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』にも及んだ。沢尻は、織田信長の正室・帰蝶(濃姫)役としてすでに10話分の撮影を終えており、初回放送まで残りわずか6週間という切迫した状況だった。

 そんな中、急遽代役に抜擢されたのが川口春奈だった。彼女は「迷っている時間はなかった」と語り、オファーを即断で受けたという。

 帰蝶は、斎藤道三(本木雅弘)の娘であり、信長(染谷将太)の正室。主人公・明智光秀(長谷川博己)ともいとこであり、幼なじみという物語の中核を担う重要な役どころである。その重責に対し、川口は大きなプレッシャーを感じながらも、撮影現場に全身全霊で臨んだ。

 放送が始まると、視聴者や関係者の間で川口の自然体で芯のある演技が高く評価され、回を追うごとにその存在感は際立っていった。代役という立場を超えて、物語に新たな魅力をもたらす役者として確かな評価を獲得したのである。

 撮影終了後、主演の長谷川博己は「彼女がいなければ、この作品は成り立たなかった」と称賛の言葉を贈った。一方、川口本人も「自信と誇りを持てた仕事でした」と語り、この挑戦が自身の俳優人生における大きな転機となったことを明かしている。

 代役という“非常時”の中に飛び込んだ川口春奈の覚悟と熱演は、多くの視聴者の心に刻まれたことだろう。

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