初代を超えた二代目・トーカ
山本舞香『東京喰種 トーキョーグール【S】』(2019)
映画『東京喰種 トーキョーグール』の続編として制作された『東京喰種 トーキョーグール【S】』で、ヒロイン・霧嶋董香(トーカ)役に抜擢されたのが山本舞香である。
本作では、前作でトーカを演じた清水富美加(現・千眼美子)が、宗教団体「幸福の科学」への出家に伴い、続編への出演を辞退。代役として白羽の矢が立ったのが、若手実力派として注目されていた山本だった。
山本はオファーを受けた当時、すでに観客の中で形成されていた“トーカ像”を壊すことへのプレッシャーを感じながらも、「自分なりのトーカを表現する」という強い覚悟を持って撮影に臨んだという。そんな彼女の挑戦は、見事に実を結ぶこととなる。
原作ファンに支持されていたトーカという難役を演じながらも、山本の持つ凛とした佇まいやクールな雰囲気は、キャラクターとの親和性が高く、自然と物語に溶け込んだ。また、空手黒帯という彼女のバックボーンが活かされたアクションシーンは、スピード感と迫力に満ちており、観客からも高い評価を得た。
原作の人気と前作の成功がある中で、続編においてトーカ役を演じることは大きな重圧であったはずだが、山本舞香はその期待に見事に応えた。彼女は本作の成功を支えた立役者の一人として、確かな存在感を残したと言えるだろう。