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元犯罪者と真摯に向き合う姿に涙
壮絶な過去を持つ難役に挑戦

『前科者』(2022)


出典:Amazon

監督:岸善幸
脚本:岸善幸
出演:有村架純、森田剛、磯村勇斗、若葉竜也、マキタスポーツ、石橋静河、北村有起哉、宇野祥平、リリー・フランキー、木村多江

【作品内容】

保護司の阿川佳代(有村架純)は、殺人で服役していた工藤誠(森田剛)を担当することになった。誠は真面目で、順調な更生生活を送っており、佳代も誠が自立する日を楽しみにしていた。しかし誠はある日突然姿を消し、警察に追われる身となってしまう。

WOWOWのオリジナルドラマ『前科者 新米保護司・阿川佳代』(全6話)の映画版。原作は香川まさひとと月島冬二による社会派コミック。監督・脚本は、『二重生活』や『あゝ、荒野』シリーズなどの岸善幸が担当している。

【注目ポイント】

本作で有村架純が演じるのは、元受刑者の更生を手伝う無償の国家公務員「保護司」の阿川佳代。彼女は、保護司を務める傍ら、コンビニのアルバイトで生活費を稼いでいる。

色んな葛藤を抱えながらも、元犯罪者の心に寄り添い続ける佳代のひたむきな姿は、感涙を誘う。また、いじめや虐待といった描写もあり、重く辛い内容ではあるが、心に闇を抱えた人々に真摯に向き合う佳代の様子を見ていると、背筋が伸びるようだ。

原作では、佳代が保護司になるきっかけとなった事件は描かれないが、映画版ではしっかりと描写されている。原作には無い要素も織り交ぜつつ、観る者をグイグイ引き込む練られた脚本と、有村架純の名演も相まって、原作ファンものめり込んでしまうような内容となっている。

有村架純演じる佳代は主人公ではあるが、物語の中心にはいない。主軸を成すのはあくまで元犯罪者たちである。本作において有村は、周囲を立たせる陰の芝居に徹していて見事。キラキラしたイメージとは異なる、彼女の新たな一面を発見できる作品だ。

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