『星をかった日』はハウルの少年時代? 美術館限定の前日譚
実は『ハウルの動く城』には前日譚がある?
【注目ポイント】
現在は三鷹の森ジブリ美術館でしか観ることができない短編アニメーション『星をかった日』(2006)。少年ノナが旅の途中で“星の種”を手に入れ、不思議な世界で育てるという幻想的な物語にはある噂がある。それは『ハウルの動く城』(2004)の前日譚ではないかというものだ。
この説にはいくつかの裏付けがある。ジブリの鈴木敏夫プロデューサーが、押井守監督との対談の中でノナはハウルの少年時代で、ニーニャは若き日の荒地の魔女という裏設定があること。そして、原作画家の井上直久も、宮崎駿監督から同様の説明を直接受けたことを明かしている。
そしてノナの姿は、どこか少年時代のハウルを思わせる髪型や表情をしており、声を担当するのは『ハウルの動く城』でマルクル役を演じた神木隆之介。魔法や星といった共通のモチーフ、夢と現実の境界が曖昧な世界観も両作品に通じているといえるだろう。
また、ジブリ美術館の公式SNSでは、『星をかった日』の上映日告知では「ハウルファンの皆さま、お待たせしました」とコメントしており、公式側も両作品のつながりを意識していることがうかがえる。
本作はDVD化や配信が一切されておらず、現在も三鷹の森ジブリ美術館でしか観ることができない極めて貴重な作品だ。短編ながらも奥深く、ジブリの世界観が凝縮された“もうひとつの物語”としての魅力に満ちている。ジブリファンならば、ぜひ一度はその目で確かめてほしい一作である。