長らく疎遠な関係にあった2人
ジョン・ヴォイト×アンジェリーナ・ジョリー
『トゥームレイダー』(2001)
監督:サイモン・ウェスト
脚本:パトリック・マセット、ジョン・ジンマン
原案:サラ・B・クーパー、マイク・ワーブ、マイケル・コリアリー
出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・ヴォイト、ダニエル・クレイグ
【作品内容】
消息不明の父が遺した古い時計に秘宝の手がかりを見つけたトレジャーハンター・ララ。惑星直列の日に天変地異を引き起こすというその秘宝を巡り、彼女は秘密結社との争奪戦に挑む。
【注目ポイント】
2001年に公開された映画『トゥームレイダー』は、人気ゲームを原作にしたアクション超大作として話題を集めたが、それ以上に注目されたのは、主演アンジェリーナ・ジョリーとその実父ジョン・ヴォイトが劇中で親子役として共演したことだった。
アンジェリーナ・ジョリーが演じたのは、考古学者でトレジャーハンターのララ・クロフト。彼女は亡き父の遺した手がかりを辿りながら、世界を揺るがす古代の秘宝「光のトライアングル」をめぐる壮大な冒険へと挑んでいく。そしてララの父、クロフト卿を演じたのが、実生活でも父親であるジョン・ヴォイトだった。
本作が公開されるまで、ジョリーとヴォイトは長らく疎遠な関係にあり、互いに公の場で言及することさえもまれだった。そんな二人の親子共演は、映画という虚構の中にリアルな感情を持ち込むことになり、撮影現場では特別な空気が流れていたという。
特に劇中、亡き父との再会を果たす感動的なシーンでは、実際にジョリーが涙を流し、ヴォイトもそれに応えるように感情をあらわにした。このシーンの撮影は何度も中断されるほど感情的なものだったという。
映画の中では再会を果たし愛情を確認し合う親子が描かれ、撮影を通して一時的に関係が修復されたかに見えたが、その後ジョリーは本名から「ヴォイト」の姓を外し、再び距離が生じたとも報じられている。
『トゥームレイダー』は、アクション映画としての完成度もさることながら、俳優としての顔と親としての顔が交錯した、極めて個人的なドラマが内包された稀有な作品である。