ジョニー・デップがまさかのキャラ被り…。
『ローン・レンジャー』(2013)
監督:ゴア・ヴァービンスキー
脚本:ジャスティン・ヘイス、テッド・エリオット、テリー・ロッシオ、エリック・アーロンソン
出演者:アーミー・ハマー、ジョニー・デップ、トム・ウィルキンソン、ヘレナ・ボナム=カーター、ウィリアム・フィクナー、ルース・ウィルソン
【作品内容】
少年時代に起きた事件により、復讐心に取りつかれているトント。悪霊ハンターとして過ごしているある日、瀕死になったジョンを、自分の望みを叶えるために蘇らせる。だが、ジョンはルールを順守し、法に則った処罰を望んでおり、トントとは意見が合わなかった。しかし、ジョンの最愛の人が奪われてしまい、彼は「ローン・レンジャー」として、悪と戦うことを決心する。
【注目ポイント】
西部劇をテーマに制作されたラジオドラマを原作とし、今作は映像化としては5作目にあたる。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズで知られるゴア・ヴァービンスキーが監督を務め、ジョニー・デップが製作総指揮および主演を担当。さらに音楽はハンス・ジマーが手掛けるという豪華な布陣により、公開前から大きな注目を集めた。
個性派俳優として定評のあるジョニー・デップは、本作でもその魅力を発揮。彼が演じるトントと、アーミー・ハマー演じるローン・レンジャーとのコンビは、軽妙な掛け合いとテンポの良い会話劇で物語を引き立てている。また、ジマーによる壮大な音楽は、スケール感あふれるアクションシーンと見事に調和し、西部劇としての重厚な雰囲気を際立たせた。
しかしながら、トントのキャラクター造形は、どうしても『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジャック・スパロウを想起させるものであり、既視感を抱かせる点は否めない。さらに、物語は典型的な勧善懲悪の構造に留まり、斬新さに欠ける展開が150分という長尺を冗長に感じさせる要因となってしまった。
その結果、本作はゴールデンラズベリー賞にて「最低前日譚・リメイク・盗作・続編賞」を含む5部門にノミネートされ、不名誉な評価を受けることとなった。さらに、莫大な制作費に対して興行成績は芳しくなく、ディズニー史上でも屈指の赤字作品として記録されている。上映時間をもう少しタイトにし、物語の焦点を絞っていれば、評価は大きく変わっていたかもしれない。