一青窈の名曲がスクリーンで花開く

『ハナミズキ』(2010)

新垣結衣
新垣結衣【Getty Images】

監督:土井裕泰
キャスト:新垣結衣、生田斗真、蓮佛美沙子、向井理、薬師丸ひろ子

【作品内容】

 北海道で母・良子(薬師丸ひろ子)と暮らす高校生・紗枝(新垣結衣)は、亡き父が植えたハナミズキに見守られながら東京の大学進学を目指していた。ある日、水産高校に通う漁師の跡取り・康平(生田斗真)と出会い恋に落ちる。大学合格後、ふたりは遠距離恋愛を始めるが…。

【注目ポイント】

 一青窈の名曲「ハナミズキ」に込められた思いをモチーフに制作された映画『ハナミズキ』(2010)は、公開当時大きな話題を呼び、28億円を超える興行収入を記録した純愛映画。

 物語は女子高生の紗枝(新垣結衣)と、地元で漁師を目指す康平(生田斗真)との10年にわたる恋愛模様を描いている。ふたりは進学と夢を追うために遠距離恋愛となり、何度もすれ違いと再会を繰り返す。舞台は日本のみならずカナダにも広がり、国境も時間も超えて紡がれる愛の形が胸を打つ。

 主演の新垣結衣は少女期から大人の女性へと成長していく紗枝の心の変化を繊細に演じ、生田斗真は夢と恋の狭間で揺れる康平を力強く演じた。

 名曲「ハナミズキ」は2004年に発表されて以来、結婚式や卒業式の定番ソングとなっているが、その普遍的な愛のメッセージが映画のストーリーに自然に溶け込んでいるのも本作の魅力だ。劇中では、楽曲が効果的に使われ、物語の節目で観る者の感情を優しく揺さぶる。

 名曲をモチーフにした映画は、曲の世界観に映像が負けてしまうリスクもあるが、『ハナミズキ』はひとつの独立した物語としての完成度をしっかりと保っている。音楽と映像が互いを引き立て合い、心に余韻を残す作品となった。

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