唯一無二の端正な顔立ちと透明感で表現した究極のラブストーリー

道枝駿佑『今夜、世界からこの恋が消えても』(2022)

『なにわ男子』公式Instagramより
『なにわ男子』公式Instagramより

監督:三木孝浩
脚本:月川翔、松本花奈
原作:一条岬
出演:道枝駿佑、福本莉子、古川琴音、前田航基、西垣匠、松本穂香、野間口徹、野波麻帆、水野真紀、萩原聖人

【注目ポイント】

 道枝駿佑が福本莉子と共に主演を務めた映画『今夜、世界からこの恋が消えても』(2022)。道枝が演じたのは、高校生の神谷透。クラスメイトに流されるまま、同級生の日野真織(福本)に嘘の告白をしてしまうという役どころだ。

 その“嘘の告白”の相手・真織は、眠るとその日の出来事をすべて忘れてしまう「前向性健忘症」を患っているキャラクター。はじめは「こんな恋は長くは続かないだろう…」と思ってしまうのだが、道枝演じる神谷が懸命にデートを積み重ね、真織を献身的に支える様子はなんとも好感が持てる。

 特筆したいのは、2人で海辺を歩くシーンや、花火大会へ出かけるひとときの透明感。道枝の持つ儚げな表情が映える印象的な場面だ。まるで時間が止まったかのような美しさがあり、「2人の恋ができるだけ長く続きますように」と願わずにはいられない。

 この作品が“ただの泣ける青春映画”にとどまらず、わたしの記憶に強く残っている理由は後半に詰まっている。実は、透にも真織には言えない“ある秘密”があった。その秘密を知るのが、真織の親友・泉(古川琴音)。物語の後半、泉がその事実と向き合う約30分間は、静かに、けれど確実に涙を誘う。結末へと向かうその時間こそが、この作品を特別なものにしている。

1 2 3 4 5 6 7
error: Content is protected !!