朝ドラ『あんぱん』劇中で死亡して“ロス現象”を生んだ俳優5選。別れのシーンが泣けた…退場が惜しまれた男たち

text by 野原まりこ

2025年3月31日より放送開始したNHK朝ドラ『あんぱん』。じわじわと話題を集める本作だが、これまで多くの魅力的なキャラクターが登場しては消えていった。そこで今回は、退場が惜しまれたキャラクターを5人厳選して。“ロス”を嘆く視聴者の反応とともにご紹介する。(文・野原まりこ)

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物語の方向性を定めた“父”の存在

加瀬亮(朝田結太郎)

連続テレビ小説『あんぱん』第1週 第4話 ©NHK
連続テレビ小説『あんぱん』第1週 第4話 ©NHK

 映画を中心に活躍してきた加瀬亮が、今回朝ドラに初出演するというニュースは放送前から大きな注目を集めた。放送が始まるやいなや、X(旧Twitter)では「加瀬亮目当て」で視聴を始めたというファンの投稿が次々と上がり、瞬く間にトレンド入り。彼の登場は作品への期待感を一気に高めた。

 加瀬が演じる朝田結太郎は、家業である石屋を継がず、夢を追いかけた自由な精神の持ち主。時代に先駆けた進歩的な人物であり、幼少期の主人公・のぶに向かって「女子も大志を抱け」と語るその一言が、のちの彼女の人生の道筋を決定づけるほど大きな影響を与えた。

 だが、その結太郎は第1週・第4話で「出張に出る」と言い残して姿を消し、二度と帰ってこなかった。あまりにも早すぎる退場は視聴者に強い衝撃を与え、ネット上でも「まさかの退場」「もっと見たかった」という声が相次いだ。

 特に印象的だったのは、子役・永瀬ゆずなが演じる幼いのぶが、父の死を受け入れられず駅まで駆けていくシーン。さらに、結太郎の父である釜次(吉田鋼太郎)が、亡き息子の墓石を自らの手で掘らなければならないという過酷な現実に苦悩する場面は、視聴者の心を深くえぐった。

 それでも、結太郎の存在は単なる「第1週限りの登場人物」にとどまらない。彼のトレードマークだった帽子は朝田家に残り、“家の守り”として大切に扱われている。物語の節々で、その存在の大きさが語られ、のぶの選択や行動に結太郎の教えが色濃く影を落としているのだ。

「加瀬亮、もっと見せてほしかった」「1週目で泣かされるとは思わなかった」「退場が早すぎる」といった声が多く寄せられたのも、その説得力と存在感の賜物であろう。

 彼が物語に残した“精神”は、これからものぶの背中を押し続けていくに違いない。

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