視聴者の涙腺を崩壊させた神回
中沢元紀(千尋)
『あんぱん』の中でも、まっすぐで誠実な“日本男児”として視聴者の心を掴んだ千尋。成績優秀で礼儀正しく、のぶへの淡い恋心を抱きながらも、兄・嵩への敬意を貫くという難しい役どころを、中沢元紀が爽やかに、そして嫌味なく演じきった。
そんな千尋が一気に存在感を爆発させたのが、6月12日(木)放送の第53話。海軍士官として出征前、嵩のもとを訪れた千尋は「生きて帰ってきたら、人妻でものぶを自分のものにする」と、普段の控えめな姿からは想像できないほどの強い決意をぶつける。この迫真の告白に、視聴者の心は震えた。15分という放送枠では収まりきらない熱量と緊張感に、「神回」との声が相次いだ。
しかし、これが千尋の“最後の姿”となってしまう。
翌日の『あさイチ』に中沢がゲスト出演したことから、朝ドラ恒例の“退場フラグ”が立ち、SNS上では不穏な空気が流れ始めた。そして、6月24日(火)放送の第13週・第62話で、次郎の訃報とともに千尋の戦死も正式に伝えられる。あまりにも突然の知らせに、視聴者は衝撃と喪失感に呆然とした。
「千尋ロスや…」
「なんで…千尋…なんでなん…」
「次郎さんも千尋もいなくなって、この先を見るのがつらい」
「あの回想の笑顔、忘れられない」
視聴者は覚悟していたはずだった。それでも、まっすぐすぎるほど純粋だった千尋を失った衝撃はあまりに大きく、Xには悲しみの声が溢れ続けた。
(文・野原まりこ)
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