禁断の午後に揺れる心、主婦たちの密やかな情事

『昼顔～平日午後3時の恋人たち～』（フジテレビ系、2014）

脚本：井上由美子
キャスト：上戸彩、斎藤工、吉瀬美智子、北村一輝、木南晴夏

【作品内容】

　結婚5年目の主婦・紗和（上戸彩）は、スーパーで出会った美人妻・利佳子（吉瀬美智子）の不倫アリバイ作りに巻き込まれる。利佳子の策略と嘘に翻弄される中、紗和は高校教師・北野（斎藤工）と出会い、運命が大きく動き出す。

【注目ポイント】

　2014年に放送されたドラマ『昼顔～平日午後3時の恋人たち～』（フジテレビ系）は、その大胆なテーマ設定と主演・上戸彩と斎藤工による濡れ場の数々で、当時大きな話題を呼んだ。

　主婦・笹本紗和（上戸彩）が、偶然出会った高校教師・北野裕一郎（斎藤工）との関係に溺れていく様子は、視聴者にどこかリアリティを与えた。舞台はあくまで平日午後の静かな日常。夫のいない時間にだけ許される密やかな情事は、現代女性の抑圧された感情を巧みにすくい上げる。

『昼顔』が注目された理由のひとつが、上戸彩の女優人生の中でも異色ともいえる濡れ場の演技だった。肌の露出やベッドシーンが話題になる一方で、その描写には常に切なさや罪悪感が伴っていた。単なる官能ではなく、感情の交錯や自己矛盾を映し出すための手段として描かれていたことが、本作をただの不倫ドラマに終わらせなかった所以だろう。

　放送当時「昼顔妻」という言葉が流行し、主婦たちの間で一種のブームのような現象が起こった。SNSには「共感する」「胸が苦しい」といった声があふれ、賛否を超えて人々の心を動かした。後に劇場版が公開されたことも、本作の影響力の大きさを物語っている。