“その言葉”で恋に堕ちた、女性の本能が目覚める瞬間
『子宮恋愛』(読売テレビ、2025)
脚本:山﨑佐保子
キャスト:松井愛莉、大貫勇輔、沢村玲、吉本実憂
【作品内容】
結婚6年目のまき(松井愛莉)は、夫に本音を言えない性格に悩む日々。ある日、同僚・山手(大貫勇輔)から突然キスされ、抑えきれない恋心に揺れる。
【注目ポイント】
2025年、深夜ドラマとして放送された『子宮恋愛』(読売テレビ・日本テレビ系)。その挑発的なタイトルは放送開始直後からSNSを中心に賛否両論を巻き起こし、一躍注目作となった。
しかし本作は、単なる過激な不倫ドラマにとどまらず、繊細で生々しい心情描写を通して、多くの視聴者の心を捉えたといえるだろう。
物語は、松井愛莉演じる主人公・苫田まきと、夫・恭一(沢村玲)との濃密な夜の営みから始まる。
冒頭は、まきと恭一のウェディングフォトが映し出される静かな導入。だが、その直後、場面は2人のベッドシーンへと移り変わり、物語は一気に本能の世界へと引き込まれていく。めがねを外した恭一が荒い息を漏らしながら快楽に没頭する一方で、まきは恭一にされるがまま。その表情はどこか虚ろで、夫婦という関係の中で、心と体がすでに乖離していることを静かに、しかし痛烈に語っていた。
そしてSNSで大きな反響を呼んだのが、まきの心が揺れるきっかけとなった同僚・山手旭(大貫勇輔)とのやり取りだ。会社の飲み会帰り、山手からふいにこう言われる。
「ねえ、その“主人”っての、やめたら?」「だって、苫田さんが、苫田さんの人生の主人公でしょ?」その言葉に、まきはふと目を見開く。彼女の心の奥底で、何かが動き始めたかのように直後、画面はまきの下腹部のクローズアップに切り替わり、「ポチャ~ン」と、水が静かに水面に落ちるような効果音が響く。この演出はまさに、“子宮が恋に落ちた”瞬間を象徴していた。
言葉にできない感情のうねりを、音と映像のみで表現したこのシーンの挑発的な演出をぜひ堪能してほしい。
【著者プロフィール:阿部早苗】
仙台在住のライター。2020年にライターデビュー。これまで東日本大震災での企業活動をまとめた冊子「こころノート」第2弾、プレママ向けフリーペーパーを執筆した他、エンタメニュース、福祉関連記事、GYAOトレンドニュース、地元グルメライターなどWEB媒体を中心に執筆。映画なしでは生きられないほど映画をこよなく愛する。
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【了】