面白すぎる…史上最高の復讐ドラマは? スカッとする名作5選。手に汗握るほどスリリング…心揺さぶる作品をセレクト

text by 阿部早苗

近年、“復讐”をテーマにした作品が数多く放送されている。そしてそれは人間の本質を剥き出しにし、怒りや悲しみの中を生きる人々を描いている。果たして憎しみの果てに正義はあるのか。血の涙と知略が交錯する、復讐を描いた民放ドラマの傑作たち。心揺さぶる5作品を厳選し、その魅力と本質に迫る。(文・阿部早苗)

ーーーーーーーーーー

兄妹の絆が導く、涙と笑いの復讐ロードムービー

『流星の絆』(TBS系、2008)

二宮和也
二宮和也【Getty Images】

脚本:宮藤官九郎
原作:東野圭吾
キャスト:二宮和也、錦戸亮、戸田恵梨香、要潤、尾美としのり

【作品内容】

 14年前に両親を殺された功一(二宮和也)、泰輔(錦戸亮)、静奈(戸田恵梨香)の3兄妹は、復讐を誓い合う。その後、静奈が詐欺被害に遭ったことをきっかけに、兄妹は共謀して詐欺を働くようになるが。

【注目ポイント】

 “復讐”。この言葉には、冷酷さや怒り、哀しみが詰まっている。だが2008年に放送されたドラマ『流星の絆』(TBS)は、その固定観念を見事に裏切った。流れる星に願いを託した三兄妹が歩むのは、決して血と怒りに染まった道ではない、ある意味斬新な復讐劇である。

 原作は、ミステリーの巨匠・東野圭吾による同名小説。物語は、幼い頃に両親を惨殺された有明三兄妹が、事件の真相を追いながら復讐を誓うというものだ。原作では事件の重苦しさと家族の絆が軸となっているが、ドラマ版ではその空気を一変させる。脚本を担当したのは宮藤官九郎。社会派サスペンスでありながら、クドカンらしいユーモアと人情味が巧みに織り込まれた。

 復讐心を抱えながらも妹の幸せを誰よりも願う兄・功一(二宮和也)。そして次男・泰輔(錦戸亮)の軽妙さ、静奈(戸田恵梨香)の揺れる心情もまた、復讐という冷たいテーマを人間味あふれるものに変えていく。静奈が復讐相手の息子に本気で恋をしてしまうという展開もまた感情の誤算があり、復讐劇に思わぬリアリティと切なさを加えていた。

 三兄妹が14年前に交わした流星に誓った約束は、やがて意外な真相と向き合うことで形を変える。怒りの感情ではなく、残された者としての責任や再生へと昇華していくその流れは、ミステリーとしてだけでなく、家族の物語としても胸に深く残る作品であった。

1 2 3 4 5
error: Content is protected !!