闇に沈む弁護士の悲しき復讐

『魔王』(TBS系、2008)

大野智
大野智【Getty Images】

脚本:前川洋一、西田征史
キャスト:大野智、生田斗真、小林涼子、田中圭、忍成修吾

【作品内容】

 復讐に生きる弁護士・領(大野智)と過去に葛藤する刑事・直人(生田斗真)の対決を描く。ある日、直人の知人が殺害された犯行現場にはタロットカードが残されていた。そのカードは、直人の元に届いたものと同じだった。

【注目ポイント】

 韓国の同名ドラマを原作にしたドラマ『魔王』(2008)は、復讐がテーマのヒューマンサスペンスドラマ。主演は大野智と生田斗真で、二人の男の壮絶な復讐劇が描かれている。

 原作の韓国版は2007年に放送され、人間の闇や復讐の連鎖を深く掘り下げた内容で話題を呼んだ。日本版はその世界観を引き継ぎつつ、日本の社会や文化に合わせた脚色が加えられた。

 過去に家族を失った主人公が事件の真相と犯人を追い求める…といった筋書きだが、その過程で主人公自身も次第に人間性を失い、復讐の負の連鎖に飲み込まれていく様子がリアルに描かれている。復讐がもたらす陶酔感と、それに伴う葛藤や苦悩が作品の中心であり、人間の業の深さをエグるように描いた異色作として、放送から15年以上経った現在でも根強いファンは多い。

 また本作は、サスペンスやミステリーの要素を巧みに取り入れており、先の読めない展開や緊迫感のあるシーンも見ものだ。映像美や音楽の演出にも力が入れられ、視覚的にもインパクト抜群。特に終盤は予想を裏切る展開が続き、視聴者を引き込む力が強かった。未見の方はぜひご覧いただきたい。

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