最も活躍している仮面ライダー出身俳優は? エンタメ界を牽引するヒーロー5選。若手俳優の登竜門から羽ばたいたスターたち
華やかなる俳優の世界において異彩を放つ特撮出身の男たち。彼らは仮面を脱ぎ去り、己の演技力で道を切り拓いた。仮面ライダーという原点を持つ、今最も輝く俳優たちを厳選して紹介する。(文・編集部)
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あの天才少年が、今や邦画界のエースに
菅田将暉『仮面ライダーW』(2009)
脚本:三条陸 ほか
キャスト:菅田将暉、桐山漣、山本ひかる ほか
菅田将暉が「仮面ライダーW」でフィリップ役としてデビューしたのは2009年、まだ16歳の頃だった。あどけなさの残る少年が、異様なまでの集中力でミステリアスな天才を演じる姿は、当時の視聴者に強烈な印象を残した。だが、あのとき誰が将来の日本映画界を背負う俳優になると予想しただろうか。
「仮面ライダーW」は平成仮面ライダーシリーズの中でも異彩を放つ作品だ。二人の青年が一人の仮面ライダーに変身するという斬新な設定のもと、菅田と桐山漣の絶妙なバディ感が特撮ヒーローの枠を超えた魅力を生み出していた。
菅田は仮面ライダーWのフィリップを演じた後、王道イケメン俳優のレールに乗ることなく、さまざまな役を演じてきた。田中慎弥の芥川賞受賞作を青山真治監督が映画化した『共喰い』(2013)では暗い欲望を内に抱える高校生を、『帝一の國』(2017)ではコミカルな熱血青年を、『ミステリと言う勿れ』(2023)では哲学に造詣が深い学生に扮した菅田の演技の魅力は、普通じゃないキャラクターを演じても、観る者に共感を抱かせることができるという点にある。
また、音楽活動でも彼は真摯だ。『さよならエレジー』『まちがいさがし』など、後世に歌い継がれる名曲を残しており、本業とは異なるフィールドでも圧倒的な才能を示してやまない。
今では映画賞の常連となり、主演作は軒並み話題を呼び、音楽番組にも出演する菅田将暉。しかしその原点にあるのはやはり、フィリップという存在だ。冷静で知的な天才役が、多面性のある彼の演技の礎になっただろうことは想像に難くない。
役者として、アーティストとして、これからどんな変身を見せてくれるのか。それはきっと視聴者の想像を軽々と超えていくに違いない。