史上最高のNHKドラマの劇場版は? 完成度がスゴい逸品5選。見応えがある…お茶の間を飛び出した作品をセレクト
text by 阿部早苗
NHK発のドラマが劇場作品として再構築され、新たな感動を呼んでいる。実話に基づいたヒューマンドラマから異色の漫画原作まで、テレビドラマとは異なる表情を見せる映画化作品の魅力を、5本の傑作を通して紹介する。(文・阿部早苗)
——————————
許されない愛が、人生を二度目に変える
『セカンドバージン』(2011)
脚本:大石静
監督:黒崎博
キャスト:鈴木京香、長谷川博己、木村多江、深沢敦、段田安則
【作品内容】
バツイチの出版プロデューサー・中村るい(鈴木京香)は、金融庁キャリアの17歳年下・鈴木行(長谷川博己)と出会い惹かれていくが…。
【注目ポイント】
2010年にNHKで放送され、大人の女性から圧倒的な支持を得たドラマ『セカンドバージン』。年齢差のある禁断の恋を繊細に描き、多くの視聴者の共感を呼んだ。その人気を受けて、2011年には映画化されたドラマである。
ドラマの主人公は、45歳の出版プロデューサー・中村るい(鈴木京香)。彼女が17歳年下の金融庁のキャリア鈴木行(長谷川博己)と出会い、情熱的な恋に落ちる。しかし、行には、妻がいた。若さと年齢のギャップによる葛藤、周囲の偏見や嫉妬、そして何より自分自身の心の揺れを丁寧に描き、等身大の大人の恋愛をリアルに映し出している。
そして映画版はドラマ版から舞台や設定を新たにしている。マレーシア・クアラルンプールを背景に、離婚経験のある45歳の敏腕出版プロデューサー・中村るいが、17歳年下で既婚者でもあるネット証券会社の社長・鈴木行との危うい恋に溺れていく姿が描かれている。当時、まだ若手だった長谷川博己が、この映画でスクリーンデビューを果たし、一気に注目を浴びた。
本作の魅力は、単なる恋愛ドラマにとどまらず、人生の「セカンドバージン」、つまり二度目の新たな恋や挑戦に踏み出す勇気をテーマにしていることだ。年齢や社会的立場に縛られず、誰もが自分らしい愛を見つけ、人生を再スタートできる可能性を感じさせてくれるドラマとなっている。