人の心に寄り添う精神科医が見た、震災の記憶

『心の傷を癒すということ』(2021)

柄本佑
柄本佑 写真:武馬怜子

脚本:桑原亮子
監督:安達もじり
キャスト:柄本佑、尾野真千子、濱田岳、森山直太朗、坂井真紀

【作品内容】
 ジャズピアノが得意な若手精神科医・安和隆(柄本佑)は、明るい妻との出会いで心穏やかに暮らしていた。第一子誕生直後に発生した阪神・淡路大震災では被災者に寄り添い、治癒力回復の重要性に気づくが…。

【注目ポイント】
 ドラマ『心の傷を癒すということ』は、1995年の阪神・淡路大震災を背景に、被災者の心のケアに尽力した精神科医・安克昌氏の実話をもとに制作されたヒューマンドラマ。原作は安氏の体験をまとめたルポルタージュ『心の傷を癒すということ 神戸…365日』で、震災直後の避難所で被災者の心に寄り添いながら、当時まだ社会に浸透していなかった心のケアの重要性を広める先駆的な活動が描かれている。

 ドラマは2020年にNHKで放送され、主演は柄本佑。主人公の精神科医・安和隆役を演じている。彼は被災者一人ひとりに丁寧に向き合いながら、心の傷を癒すために奔走する。そして妻役の尾野真千子をはじめ、家族や友人たちも共に支え合う姿が温かく描かれており、人間の絆や家族の大切さもテーマとなっている作品だ。

その後、ドラマの内容を再編集し、未公開シーンを加えた映画版が2021年に公開された。映画も高い評価を受け、心のケアの必要性を改めて社会に問いかける作品として、多くの観客の共感を集めたといえるだろう。

この作品は、震災によって傷ついた心と向き合い、癒やしていく人間の姿を丁寧に描くことで、災害後のメンタルヘルスの重要性を強く訴えている。

なお、柄本佑が演じる安和隆のジャズピアノ演奏シーンは、役作りのために2ヶ月以上の練習を積み重ねたもので、彼の繊細な演技とともに作品に深みを与えている。

【著者プロフィール:阿部早苗】

仙台在住のライター。2020年にライターデビュー。これまで東日本大震災での企業活動をまとめた冊子「こころノート」第2弾、プレママ向けフリーペーパーを執筆した他、エンタメニュース、福祉関連記事、GYAOトレンドニュース、地元グルメライターなどWEB媒体を中心に執筆。映画なしでは生きられないほど映画をこよなく愛する。

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【了】

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