アンコールで明かされたサプライズとは? 三代目 J SOUL BROTHERガチファンが『“KINGDOM”』を徹底解説

text by 加賀谷健

三代目 J SOUL BROTHERSにとって8度目となるドームツアー『“KINGDOM”』は、単なるライブではない。音楽・ダンス・映像・演出が融合した、まさに“体験型エンターテインメント”の極致だ。今回は、アトラクションのように変化するステージや、観る者を圧倒するパフォーマンスの真髄に迫っていく。(文・加賀谷健)

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壮大な“JSB物語”をリアルタイムで目撃する世界観

『三代目 J SOUL BROTHERS PRESENTS “JSB LAND”』
『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2025“KINGDOM”』

 三代目 J SOUL BROTHERS(以下、三代目JSB)にとって6度目のドームツアー『三代目 J SOUL BROTHERS PRESENTS “JSB LAND”』(以下、『“JSB LAND”』)開催時、MATE(三代目JSBファンネーム)の間では「入国」という表現が広く使われていた。というのは、『“JSB LAND”』というツアータイトルを「JSB国」と翻訳したとして、実際の公演に足を運んだMATEの(会場への)入場が「入国」ということになるからである。

 初のドームツアー『三代目 J Soul brothers LIVE TOUR 2015“BLUE PLANET”』を開催して以来、三代目JSBのドーム公演はエンターテイメントの限りを尽くしたコンセプトと演出、その世界観作りに余念がない。彼らのライブを一度でも観た人ならわかると思うが、誰もが盛大なお祭り的熱気に圧倒される。コンセプチュアルな怒涛の世界観は、ドーム公演回数を重ねるごとに必ずバージョンアップ、盛大さを盛大さで更新してきた。

『“JSB LAND”』を開催した同じ2023年、先駆けてアリーナツアー『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2023“STARS”〜Land of Promise〜』を開催。サブタイトルが意味する「約束の土地」が、後続するドームツアーでの「JSB国」まで範囲を拡大したと解釈できる。まるで神話世界のように、ある土地が国土まで開拓、発展する壮大な歴史としての“JSB物語”を伝えるかのようである。物語の新たな歴史が刻まれる瞬間をリアルタイムで目撃したいから足を運ぶのだし、それが必ずメモリアルな体験になるから、毎回ドームのゲートを入場する前からワクワクが持続する。それが「入国」ともなればなおさらのこと。

入国”の解釈が変わる『“KINGDOM”』に込められたスケール感

『三代目 J SOUL BROTHERS PRESENTS “JSB LAND”』
『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2025“KINGDOM”』

 8度目となるドームツアーのタイトルは、『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2025“KINGDOM”』(以下、『“KINGDOM”』)である。『“JSB LAND”』からより国土を拡大して、統治をより強固にしたのか。『“KINGDOM”』という壮麗極まるタイトルならば、これは俄然テンションを上げて「入国」する必要がある。いや、仮に『“JSB LAND”』を「JSB国」と翻訳したときの「国」が国土そのものを意味するタイトルだったとするなら、正確には『“KINGDOM”』にこそ「入国」とあてがわなければならないのか?

 答えはライブを観たらわかる。ここからは、埼玉・ベルーナドーム公演を初日として開幕した『“KINGDOM”』東京ドーム公演(6月4日)をレポートしながら読み解いてみたい。三代目JSBライブのオープニングでは、ツアー全体の世界観(コンセプト)を明確に表現するための派手な映像演出が用意される。ステージバックに何面ものモニターを設置。メンバー7人が登場するまで華麗な画面連鎖でステージ上を盛り上げる。

7人のKINGが築く新時代の“王国”

『三代目 J SOUL BROTHERS PRESENTS “JSB LAND”』
『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2025“KINGDOM”』

 カウントダウンあと、バックモニターに舞い降りた鷹が導き手となり、映像内で時空を超えて「王国」(KINGDOM)まで案内する。たぶん、これは「JSB国」という領土(国土)内に建国された「王国」本丸までの道のりを描いた演出なのだろう。

 ツアー開幕前に発表されたコンセプトビジュアルには、華美な衣装をそれぞれまとう7人が写っていた。タイトルに相応しいその出で立ちは、紛れもないKING然。いったい誰が国家元首なの? と想像を掻き立てられた。発表されていた衣装と同じものをまとうメンバーたちが映像内決めカットで紹介されたあと、ステージ上の大きな門が開く。

 中ではNAOTO、小林直己、ELLY、山下健二郎、岩田剛典、今市隆二、ØMIが待ち構えていた。この門が開くという演出によって、ぼくらは入門を許され、元首たちに謁見できる。

 だから今回のツアーには「入国」でもなく「入門」が正しい? そして誰が元首なのか問う必要もない。待ち構えていた彼ら全員が堂々たる元首であり、国王(KING)なんだと思わず圧倒される。

3曲連続で魅せた三代目JSBの国民的セットリスト

『三代目 J SOUL BROTHERS PRESENTS “JSB LAND”』
『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2025“KINGDOM”』

 東京公演1曲目は、2024年初リリース楽曲で、10枚目のオリジナルアルバム『ECHOES OF DUALITY』に1stトラックとして収録されたナンバー「BLAZE」。

 同アルバムを引っ提げた7度目のドームツアー『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2024“ECHOES OF DUALITY”』(以下、『“ECHOES OF DUALITY”』)東京公演(2024年12月11日)では、アンコールに配置したこの曲を本ライブの1曲目に持ってくることで、前回ツアーのエッジーな試みの残響音(ECHO)とする。

 2019年開催4度目のドームツアー『三代目 J SOUL BROTERS LIVE TOUR 2019“RAISE THE FLAG”』のタイトルにもなった「RAISE THE FLAG」を2曲目、国民的代表曲「R.Y.U.S.E.I.」と同じ2014年にリリースされた「O.R.I.O.N.」を3曲目にして早々、盛大さをこれでもかと極める。

 公演前には、リーダー小林直己、ツインボーカルØMI、パフォーマー岩田剛典による囲み取材があり、ぼくも参加したのだが、小林が「一番エンターテイメントしてる」と言い、ØMIが「(“KINGDOM”に)相応しい内容」と説明した言葉通りの公演である。

 岩田は「メンバー7人本人たちがパフォーマンスしてて楽しいと実感できることがきっとMATEにとってもそれが一番のエンターテイメントになる」とMATE愛を付け加えていた。彼らの言葉が裏打ちする贅沢なライブ空間中盤へのしめやかな助走としたのは、本ツアー初披露曲にして、情報番組『Mr.サンデー』(フジテレビ系)エンディングテーマ曲に起用されている「New Page」。ここに、三代目JSBの新たな歴史の幕開け(New Page)がさりげなく宣言される。

サプライズで明かされた衝撃のニュース

『三代目 J SOUL BROTHERS PRESENTS “JSB LAND”』
『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2025“KINGDOM”』

 後半戦。そろそろクライマックスだなと思ったところへ、「R.Y.U.S.E.I.」、「Summer Madness feat.Afrojack」、「Rat-tat-tat」までダンスナンバーリレーを一気に駆け抜ける。三代目JSBライブを締めくくる定番ラストナンバー「RAINBOW」あと、これも本ツアー初披露「ICE BREAKER」をアンコール1曲目として、ビッグモニターにビッグアナウンス(!)。

 公演前からビッグアナウンスがあることは告知されていたが、なんとなんと、三代目JSB初単独スタジアムライブ開催が発表された。

 会場はヤンマースタジアム長居。デビュー15周年に向けたこの熱気、このサプライズ。発表あとにアンコール2曲目「JSB DREAM」を歌うツインボーカル今市隆二による「夢が叶ったよ」というMCを聞いて、あぁ、この壮大、壮麗な夢の物語はまだまだ更新されながら、スタジアムライブという歴史的瞬間を早く目撃したいと思わせてくれる。

【著者プロフィール:加賀谷健】

コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修
クラシック音楽を専門とする音楽プロダクションで、企画・プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメン研究」をテーマに、“イケメン・サーチャー”として、コラムを執筆。女子SPA!「私的イケメン俳優を求めて」連載、リアルサウンド等に寄稿の他、CMやイベント、映画のクラシック音楽監修、解説番組出演、映像制作、テレビドラマ脚本のプロットライターなど。
2025年から、アジア映画の配給と宣伝プロデュースを手がけている。
日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。

ツアー情報

【三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2025 “KINGDOM”】
公式サイト
【三代目 J SOUL BROTHERS 15TH ANNIVERSARY STADIUM LIVE “JSB FOREVER 〜ONE〜”】
公式サイト

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【了】

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