癒し系の“弟キャラ”を好演した元・コワモテ俳優
坂口憲二『最後から二番目の恋』(フジテレビ系、2012)
脚本:岡田惠和
出演:小泉今日子、中井貴一、坂口憲二、内田有紀、白本彩奈、久保田磨希
【注目ポイント】
2012年にフジテレビで放送されたドラマ『最後から二番目の恋』で、坂口憲二は長倉家の次男・長倉真平役を演じた。主人公・和平(中井貴一)の弟であり、姉の万理子(内田有紀)とは双子という設定だ。真平は明るく穏やかで家族思い。自宅を改装したカフェの店長として働きながら、兄や姉と支え合い、癒し系の“弟キャラ”として多くの視聴者に親しまれた。
この作品で坂口は、包容力と素朴さを併せ持つ魅力的な弟役として視聴者の心をつかみ、俳優としての新たな一面を見せた。2014年の続編『続・最後から二番目の恋』では、真平の恋愛や結婚が描かれ、一人の大人として成長していく姿が共感を呼び、小泉今日子や中井貴一といったメインキャストに負けずとも劣らない活躍ぶりだった。
しかし当時、坂口は難病である特発性大腿骨頭壊死症を患っていた。激しい痛みに耐えながら俳優活動を続けていたが、2018年に治療とリハビリに専念するため芸能活動を休止。
それでも彼は前を向き、自らコーヒー焙煎所「The Rising Sun Coffee」を立ち上げ、焙煎士として新たな道を歩み始めた。
そして2023年、ドラマ出演を通じて芸能界に復帰。2025年には『続・続・最後から二番目の恋』で11年ぶりに連ドラのレギュラー出演を果たし、真平役として完全復帰を遂げた。病と向き合いながら自分のペースで生きてきた坂口の姿は、真平の穏やかさと重なり、より一層の説得力をもって映っている。